スヌープ・ドッグがギャング時代を彷彿させる鬼の形相で、アーノルド・シュワルツェネッガーを罵倒!
2008年に無抵抗の男性を殺害したとして、禁錮16年の判決を受けた男が今月3日に刑務所を出所したことが明らかになった。男の名はエステバン・ヌニェス、27歳。俳優で元カリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツェネッガーの政治的盟友だった、元同州下院議長ファビアン・ヌニェスの息子である。エステバンは、08年10月に友人と2人でルイス・サントス(享年22歳)を刺殺した罪で逮捕、起訴された。エステバンと友人はパーティーに参加させてもらえないことにイラ立ち、酔った勢いで、無抵抗だったルイスをナイフで刺殺したと報じられている。
エステバンは禁錮16年に処され、10年6月に服役した。11年1月、アーノルドが州知事を退任する日に、エステバンは禁錮16年から7年に大幅減刑された。刑務所の中では模範囚だったことから、このたびさらに早く出所することに。エステバンの家族は「我々の息子は、きちんと罪を償った。更生した」という声明を発表し、釈放を喜んだ。なお、エステバンは今後3年は保釈期間となり、制限のある暮らしをすることになる。
ルイスの遺族は、11年にエステバンが減刑された直後、「アーノルドは、州知事を退任するどさくさにまぎれてエステバンを減刑した」として、「減刑を認めるべきではない」と訴えを起こした。裁判官は遺族の心情を理解しつつも、「減刑は不法ではない」と退けた。アーノルド自身は、「禁錮16年は長すぎるから減刑した」と説明。「減刑したことは良かったと思っている」「もちろん、友人を助けるのも良いことだし」と発言し、世間の批判を浴びた。
現在、アメリカのメディアは、エステバンが最初に下された判決よりも10年以上早く出所したことを大々的に報道。「アーノルドは公私混同する最低な政治家だった」とバッシングする声が上がっているが、そんな中で、1990年代に泣く子も黙るハードコアなギャングスタ・ラッパーだったスヌープ・ドッグが、アーノルドを強く批判する動画をSNSに投稿。話題を集めている。
スヌープは12日、インスタグラムにエステバン釈放のニュース記事と、「牛のクソほど臭ぇじゃねぇか、ふざけんな!」「アーノルドはノーベル平和賞候補のトゥッキーは助けなかったクソ」「フ●ック・ユー、アーノルド。さっさと散れ!」という怒りのメッセージを投稿。その後、怒りに任せて複数の動画を投稿した。
ここ数年、マリファナ好きな「いつも変なこと言ってるスヌープおじさん」として幅広い層から人気を得ている彼だが、動画のスヌープはギャング全盛期を彷彿させる恐ろしい顔をしている。動画では、怒りに満ちたスヌープの顔を下から写しており、なおかつ薄暗い白黒動画という点も恐ろしさを倍増させている。
最初の動画で、スヌープは、「アーノルド・シュワルツェネッガーは正真正銘のビッチだ。マザー・フ●ッカーだ。あんなクソ野郎をムショから救い出すくせに、トゥッキー・ウィリアムズは見殺しにした。クソ野郎が、ダチのガキだからって助けたんだよ。関係ねぇじゃねぇか。ふざけんな」「マザー・フ●ッカーめ。マジでムカつくぜ。人種差別主義者のクソ野郎。フ●ック・ユー、アーノルド・シュワルツェネッガー」と汚い言葉でアーノルドをののしった。
2つ目の動画で、スヌープは、「(差別発言を繰り返す大統領候補の)ドナルド・トランプでうんざりしているところに、またマザー・フ●ッカーかよ。アーノルド・シュワルツェネッガーはビッチだ。犬程度の脳みそしかねぇビッチだ。フ●ック・ユー」「お前らなんて怖くねぇぞ、オラ!」と挑発する動画を投稿。
最後の動画はカラーで、スヌープは、「これは白人特権以外のなんでもねぇよ」「アーノルド・シュワルツェネッガー、てめえをシメる日を楽しみにしてるぜ。ドナルド・トランプと一緒に大統領選に出ろよ。2人まとめてヤッてやるからな」と息巻く。そして、アーノルドが犬を抱いておどけている写真を投稿し、「フ●ッキング」というメッセージを添え、一連のディスを締めくくった。
スヌープがここまでアーノルドに激怒している理由は、79年に2件の強盗殺人容疑で逮捕され、無罪を主張し続けていたものの、81年に死刑判決を受けたスタンリー・“トゥッキー”・ウィリアムズの死刑を回避しなかったことにある。
悪名高きストリートギャング「クリップス」を、全米で最凶のギャングへと拡大させたスタンリーは、死刑判決後も無実を主張。一方で、収監後は改心し、「暴力やギャングに関わるな」と子ども向けの本を執筆し、多くの子どもたちを救った。スタンリーのリアルでパワフルな言葉は高く評価され、ノーベル平和賞に4回、ノーベル文学賞に3回、ノミネートされている。
スタンリーに対する助命嘆願活動は活発に行われ、死刑の是非論争にも発展。自身も「クリップス」のメンバーだったスヌープは、友人であるスタンリーの死刑執行中止を求め、数千人が集まったデモ運動にも参加。しかし、当時カリフォルニア州知事だったアーノルドは、「スタンリーが有罪だという動かぬ証拠がある」とし、「謝罪もしない男は救済するには値しない」とし助命嘆願を拒否。05年12月13日に、薬物注射による死刑が執行された。スヌープはこのことを深く根に持っており、アーノルドに対して強い憤りを抱き続けているとされてきた。その抑え続けてきた怒りが、今回のエステバン釈放報道を見て、一気に噴き出したのだろう。
このスヌープの動画を記事にした米大手ゴシップ芸能サイト「TMZ」には、2,000を超えるコメントが集まっているが、「トゥッキーは強盗殺人だけではなく、ギャング抗争で死んだ大勢の死の責任者でもあるし……エステバンは1人しか殺してないから、比較にならないのではないか」「アーノルドが友人のために殺人犯を減刑したことは間違っているが、それとこれとは別問題なのでは」「アーノルドが人種差別主義者とは思えない。そこまで頭が回るわけない」など、スヌープの怒りを理解できない人が多いようである。
スヌープだが、一連のアーノルドディス動画を投稿した後、気持ちを落ち着かせるためにマリファナを吸ってハイに。スタジオで上機嫌で踊る動画を披露し、いつもの「スヌープおじさん」に戻っていた。
政治や人種、死刑の是非が複雑に絡まり合う問題のため、簡単にはスヌープの怒りは収まりそうにないが、今後、事あるごとにアーノルドをののしることになるだろう。