セックスの経験がないのは恥ずかしいことか？　「中年処女」の知られざる実態

■行動範囲が実家と職場だけでは、何も起こらない

　また、D子（50歳）は、小さな頃からずっと「母1人子1人の生活」だったため、男のいる生活は考えられないという。

「このままいくと、母が先に亡くなるわけで、そうなったら、私は孤独死しかないんですよね。それは不安だけど、今さらどうにもならないし……。ガツガツ婚活するのもねえ。貯金？　もちろんないですよ」（D子）

　この4人は、身だしなみもきちんとしており、どちらかといえば「きれいな人」の部類だ。外見でモテないということはなさそうなのだが。

「いいなあと思う人は、間違いなく奥さんや彼女がいます。完全に出遅れてますね。プライドが邪魔して、積極的に探す体力も気力もありません」（A子）

　実家と職場の往復だけでは出会いがあるはずがないのに、「合コンも婚活も気恥ずかしくてできない」（C子）のだ。

■傷つくのが「めんどくさい」

　一方で、「別にセックスしなくてもいい」という若者や中年が増えているのも事実のようだ。

　昨年5月に若手の社会学者が「子どももセックスも『汚い』から嫌い」と言って物議を醸したが、ネットなどではバッシングと同時に賛同も得られている。

「たしかに汚い」「無理してつき合って、傷つくのは怖いというよりもめんどくさい」と話す中年処女もいる。「性欲はないといえばウソになるけど、そろそろ更年期だし、このトシになるとどうでもよくなってくる」（A子）ということらしい。

　とはいえ性欲がまったくないわけでは、もちろんない。BLが好きなC子は「BLでオナニーしている友だちはけっこういて、情報交換もしている。処女だけどイケますよ」と明かす。

「ジャニーズなどアイドルタレントのちょっとセクシーな動画に萌える友だちもいます。いずれにしろ二次元の男が恋愛の対象ですから、オタク系の男性とあまり変わらないですね（苦笑）」（C子）

　恥ずかしそうに、だがうれしそうに話すC子を見ていると、そもそも「セックスの経験がない」ことは恥ずかしいことなのかと思えてくる。何人の男と寝ようと、不幸な人は不幸であり、経験が多ければ「ヤリマン」と呼ばれるだけである。

　処女も非処女も「自分の幸せを見つけることが第一」ということに落ち着くのだろうが、そもそも幸せって、何なのだろう。
（春日部優）