他人ごとではない? 風俗嬢専門の女性医師が梅毒やエイズの世界的大流行を予言!
■風俗業界も格差が問題に
――経済的な理由によって風俗業界で働く女性が増えていることが、問題になっているようです。
川崎 それはありますね。親の経済の事情で大学に通えない若い人が増えていて、現役の医学部の学生がソープで働くのも珍しくありません。それでも、若くてかわいい女の子たちはまだ稼げるからいいのですが、中高年の女性が激安店で働かざるを得ない状況は深刻です。
彼女たちは、「NS」(ノースキン、コンドームをつけないこと)は当たり前で、ピルを常に飲んでいますから、ホルモンバランスが崩れている人が目立ちます。スッピンで検査に来ると、オッサンみたいに見えることもあります。
また、激安店ではSMやスカトロなど、マニアックなプレイに応じざるを得ないのもストレスですね。自分の性向に合えばいいのですが、そうでもない場合も多いようです。お客さんから「せっかくカネを払っているんだから……」と、より過剰なサービスを強硬に求められることもあり、感染症にかかる以前に精神的に参ってしまう例も多いです。
――性風俗業界の問題は、社会の縮図のように思えます。
川崎 私もそう思います。貧困と女性蔑視、医療体制の不備、そして格差と、社会全体の問題を包含していますね。毎日接していて、ひどいものだと思います。
――あえてそのような風俗嬢を専門に診療されているのは、なぜですか?
川崎 もともと感染症が専門だったことや、自分も女性であること、でしょうか。感染症は危険ですが、菌やウイルスなど原因がはっきりしていて、研究しやすいこともあります。その点から考えると、風俗業界の診療は取り組みやすいんです。
そもそも人類史上、最も多くヒトを殺してきたのは、戦争ではなく感染症なんですよ。古代エジプトのミイラの中にも、感染症で亡くなったとみられるものがあります。有史以来の「人類の敵」と毎日向き合えるのは、プロ冥利につきますね(笑)。
――感染症対策として、気をつけなくてはいけないことはありますか?
川崎 性感染症以外でも、怖い感染症はたくさんあります。まずは、睡眠と栄養を十分に取って抵抗力をつけることと、ストレスをためないこと。あとは定期的な健康診断も重要です。人間ドックは時間的に無理でも、血液検査と尿検査でかなりのことはわかりますから、マメにお医者さんに行って診てもらってください。
(伏見敬)