家庭の事情で転園する子、ひどい認可園から入園する子……保育園の春は大忙し!
いままで保育園を経営していて、新事業であるシッター業の立ち上げのタイミングもあってか、今年の年度末が一番忙しいなと思います。しかも、これを書いている翌日は情報番組『バイキング』(フジテレビ系)の生放送、そのままTBSに移動して某情報番組の顔合わせ。先週は福岡放送の番組の収録で、福岡に出張していました。楽しいけど、“お母さん業”をやりながらだと体力的につらいこともあります。そんな時、娘が「テレビに呼ばれたら、断らないでがんばってね」と言ってくれるので、国内の仕事なら断らないで感謝しつつがんばってみようと思います。
年度末、保育園ではいろいろなことが起こりました。大好きな子どもとの、突然の別れもあります。小学校に通うお兄ちゃんの都合で、長野県に引っ越ししてしまう男の子がいます。お兄ちゃんは現在通う学校を辞めて、親子で山村留学をすることになり、下の子も一緒に長野で生活することになりました。この子にはいろいろ思い入れがあって、「通っている保育園が合わなくて……」と相談を受けた電話から始まり、我が子のようにかわいがり、叱りました(笑)。
退園まであと3週間なのですが、「もっと一緒に過ごしたかった!」と泣きたい気持ちになります。ママにも話しましたが、小学校時期と保育園時期を考えると、勉強や友達、教師との関係を含め、優先するのは小学生のお兄ちゃんの方で、私も同じ立場なら、ママと同じことを考えたと思います。保育園や幼稚園は極端に言えば行かなくてもいいけど、小学校で勉強、友達、先生との信頼関係につまずくと、取り返しのつかないことになります。不登校になるかならないかは、子どもの最初のSOSにどう対応するかだと思います。ママの気持ちがよくわかるので、ここは泣いていないで、元気に送り出さないといけませんね。
そして、パパとママが離婚をしていて、ママと暮らしていたのに、突然パパと暮らすことになった子がいます。子どもにはまだ話していないそうなので、こちらも話を合わせていますが、ママっ子だったので、きっとショックを受けるはず……。「なんで子どもを手放すんですか!」など、たくさん言いたいことがありますが、保育園は親が決めたことをとやかく言ってはいけないのです。あー、でも、この話を聞いたとき眠れませんでしたよ。ひとり親で夜にがんばって働いているママもいるのに……。
何年か前、川崎の繁華街にある24時間保育園をのぞいたとき、「長時間いても疲れない園を私が作りたい!」と思ったことがあります。実際に保育園は作れなかったけど、24時間のベビーシッター会社を作ったのは、ひとり親で働くママを応援したい、そんな気持ちがありました。父子家庭と母子家庭、どっちが子どもにとって幸せかわかりませんが、私は自分が産んだ子どもを、どんな理由があろうと手放しません。
■認可園、認証園がいちばん、というワケじゃない
4月からの入園児の面談をしているのですが、その中に認可園、認証園から転園してくる子どもたちがいます。一度は入った認可園、認証園なのになんで? と思うかもしれませんが、認可園の中にはひどいところもあり、ゴキブリホイホイが放置、そのゴキブリホイホイを触っている子がいた、歯ブラシ入れにゴキブリ……とホラー映画さながらの保育園が実在するとのことで、驚きました。監査に「ゴキブリの有無」という項目を作ってほしいですよ(笑)。うちの保育園ではゴキブリが出なくても、長期休みの前に定期的に駆除しています。飲食店と同じで、お客さんの前に姿を見せたら、その瞬間アウト! です。
ゴキブリや園長の対応が悪いといった理由以外に、「お受験のために」と転園してくる子もいます。慶應義塾横浜初等部、慶應義塾幼稚舎、早稲田実業学校初等部の27年度試験問題が出来上がったと、顧問である幼児教室の「アンテナ・プレスクール」の校長先生から連絡があったので、問題を全部読んで、保育園での取り入れ方を考えないと! お受験する子もしない子も楽しめる内容にします。
28年度も、子ども&保護者&スタッフのためにがんばります! 仕事をがんばれるのも、娘や婿が毎日元気で、両親が健康だからですね。神様に感謝です。
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では8歳の愛娘の子育てに奮闘中。