「私は劣化7年目」加藤ミリヤに直撃! 詐欺メイク・すっぴんメイクら“女子”の呪縛ワードを斬る
女子力――いつしか市民権を得るまでに至ったこの言葉。簡単に言えば、「女子が女子であるために女子らしさを保持するための力」を指す言葉だが、根強きブランド力を誇示するトピックがある一方で、ファッションや流行語同様、話題となっては消え、消えては新たに誕生しているのが現状だ。
そこで、現在SNSで女子たちが活用している“女子ワード”について、『LIBERTY』なる最新アルバムを完成させたアーティスト・加藤ミリヤに聞いてみることにした。「女子力」にがんじがらめになった女たちを、その名のごとく「自由」へと導くべく、ミリヤ姐さんがジャッジを下す!
<1:詐欺メイク>
加藤ミリヤ(以下、ミリヤ) 今は“盛る”のがデフォルトだから、いいんじゃないかな。ガラケーからスマホになって画像加工アプリも増えたし、なによりインスタグラムの台頭によって、撮影したそのままの画像を使う人も極端に減ったと思うし。SNS以前は、一般人が自分の姿を世の中にさらけ出すっていう機会や文化ってほとんどなかったけど、今はFacebookやTwitter、インスタ、そこに自分の存在意義を見いだしている人たちが増えたから、見た目だけじゃなく、いろんなことを盛りたい気持ちは理解できる。でも、詐欺メイクは……広い意味合いではやっぱり“詐欺”だよね。私もインスタやってて、ネットで「詐欺ってる」とか言われてるみたいだけど、腕や足、体も細くしていないし、毛穴だってそのままにしてますよ。
“美しく見せたい”と思う気持ちは本当に理解できるんだけど、度が過ぎちゃうと「もうちょっとだけ肌の質感を」「もう少しだけ足を長く」って欲が出てきちゃうから、やっている側も麻痺っちゃって、修正しているという意識もどんどん薄くなってきているんじゃないかな。でも、実際にその詐欺メイクを施した写真が持てはやされても、実物を目の前にしたら、理想と現実のギャップに驚かれてしまうわけでしょ? そうなると、いつしか心と体のバランスが保たれなくなって、不安定になっちゃう。詐欺メイクは全然構わないけど、大前提として、鏡を見て己と向き合い、「メイクは詐欺。メイクを落としたらこれが私」って本当の自分を理解しておいた方がいいと思う。
本当にきれいになりたい人って、周囲に「きれいになりたい」って言わないのと一緒で、痩せたい人も「ダイエットしてる」とは周囲に漏らさないと思う。私の場合、仕事関係の子や友達から「痩せたい」って言われたら、「言う前に痩せろよ」って言っちゃいますから。
<2:すっぴんメイク>
ミリヤ 数年前からネットを中心に増えてますよね、「すっぴんでごめんなさい」みたいな。正直、謝るくらいならアップしなきゃいいのにね。どういう意味で謝っているのかわからないけど、そういう人たちには、ぜひ『広辞苑』(岩波書店)の「すっぴん」部分を熟読してほしい。すっぴんっていうのは、メイクを全部落として就寝、そして起きた瞬間くらいが本当のすっぴんだと思う。だから、スマホ片手に自撮りスタイルで「すっぴんでごめんなさい」って状況が、もうすでにすっぴんじゃないし、その言葉に世の男性が感じる“女という生き物の面倒くささ”が集約されてるように感じるんですよね。詐欺メイクは、化粧すること自体がある種の詐欺でもあるから、すっぴんメイク――中には本当にすっぴんの人もいるんだろうけど――は、罪深さを覚えます。