美容鍼で、衝撃の「顔面バースデーケーキ」に！　神秘の技が刺激する女の“輪郭コンプレックス”

　ところで、顔のリフトアップを希望しているのに、どうしてうつ伏せに？ どうやらこちらの治療院では、全身の調整をしてから顔の施術となるらしい。徹夜明けで「顔だけ洗えばいっか☆」と、風呂にも入らず来てしまったことをここに懺悔。施術は足から始まり、腰や背中や首、本当に全身に鍼を打たれる。もちろん、まったくの無痛。そして仰向けになり、顔のマッサージ。それから腕や足やお腹、そして頭皮に鍼。頭皮でようやく「あ、入ってるのかな？」という程度の感覚があったが、やはり無痛。この時点で、気分的には鍼を打たれている感覚はゼロ。「超ソフトなマッサージ」を受けてる気分だ。

　さて、いよいよ顔面。目を閉じているので、先生がなんとなくいろいろと手を動かしているのはわかるけれど、当然のごとく無痛。J子が「見ている方は、結構怖い感じですよ……」と怯えた声を出しているけど、どうなってんの？ ひと通り鍼を打ち終え、出血予防の美容オイルを塗ってもらい、15分ほど鍼を打たれたまま休憩。この間に筋肉が柔らかくなり、リンパの流れが良くなるらしい。目を開けてもよいというので、鏡で自分の顔を見せてもらうと……何これ!?　顔面にカラフルな鍼が刺さりまくっている。その図はまるで、所狭しとロウソクがぶっ刺さってる「中年のバースデーケーキ」のよう！

こちらが中年バースデーケーキ☆

　ハロウィンにも参加できそうな顔面で15分経過。鍼を抜いてもらってから、ストレッチをしてもらい、最後にアフターの写真撮影。その後にビフォー写真と並べて見比べるのだが、見る前からわかっていた。もう、頬からこめかみにかけて、顔がリフトされている実感がある！　そしてやはり、PCのモニタに並んだビフォー・アフター写真では、むくみが取れ、スッキリしているのが一目瞭然。顔の左右のズレも治っているよ？ しかも肩や背中がラクになってるし！　たった90分なのに!!

　鍼の神秘に驚いたのは、私だけではない。「オールウェイズ美容迷子」なJ子は、私以上の衝撃を受けていた。ちなみにJ子は、朝ドラのヒロインに抜擢されてもおかしくないくらい可愛い娘さんだと思うのだが、抱えている顔面コンプレックスは、私が人生で出会った女の中でもトップレベル。初めて出会った3年前から「私、顔の右半分がブスじゃありませんか？」と、会う度に聞かれ、その度に「気にしすぎだよ」と返していた。そんなJ子が、後藤先生から「J子さんは顔の右側が少し下がってますね」と言われた瞬間、美の地獄の蓋が開いてしまった。「ゴゴゴゴゴッ……!!」という音が聞こえた。

　「そうなんです！」「今まで誰にもわかってもらえなくて!!」感極まって叫び出すJ子。「私、予約してから帰りたい！」と、すでに信者の顔つきだ。コルギに相当な額をぶっこんだが、満足できなかったJ子が、また新しい宗教を見つけた様子。うん、私だって通いたいよ。しかし、J子の感動は相当だったらしく、暗黒の自分語りが止まらない。「小さい頃から、母親に顔がおかしいって言われてて!!」「私、自分のブスを治さないと、子どもが欲しいなんて思えない!!!!」後から後からあふれてくる地獄の叫びに、「J子さんは、十分に可愛いですよ？」と後藤先生からもなだめられる始末。先生、地獄レベルに厄介な娘ですが、よろしくお願いします！　顔だけでなく、心の歪みも治してやってくださいませ☆

（左）Before→（右）After☆

　さて、原稿を書いている今現在で、施術から2週間が経過した（J子からはすごく催促されている）。しかし、不思議なことにまだ、こめかみ辺りに肌が張っている感じが残っている。私も通うべきだろうか。ちなみに施術中、浅香山部屋の力士さんが来院するのを見てしまった私は、「通い続けたら、いつの日か親方と会えるかも!?」という野望が芽生えてしまった。ゴゴゴゴゴッ……ファン魂の地獄の蓋が開いてしまいそう☆

リンドウー治療院
美容鍼、鍼灸、マッサージを専門とした港区赤坂にある治療院。「痛くない上に効果的」と評判で、お忍びで通う芸能人も多い。桐を使用した木の壁が特徴という完全個室で、リラックスしながら施術を受けられるのも人気の秘訣だそう。
住所：東京都港区赤坂3-15-9萬屋ビル3階　電話番号：03‐6459‐1483
・公式サイト

大久保ニュー（おおくぼ・にゅー）
1970年東京都出身。漫画家。ゲイの男の子たちの恋愛や友情、女の赤裸々な本音を描いた作品を発表。著書に『坊や良い子だキスさせて1』（テラ出版）、『東京の男の子』（魚喃キリコ、安彦麻理絵共著／太田出版）などがある。
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