小保方晴子氏の『あの日』は男性研究者のセクハラ告発本だった!? 関係者が分析
STAP細胞騒動のヒロイン、理化学研究所の元研究員、小保方晴子氏の手記『あの日』(講談社)が売れに売れまくっている。紀伊國屋書店の2月13日~19日の週間ランキングでは、和書総合5位にランクインしている。前編は小保方氏のサクセスストーリー、後半はES細胞の窃盗の濡れ衣を晴らすために釈明する内容になっている。一方で、現役の研究者たちの間では、この本の狙いは「セクハラ告発」だという説が囁かれている。
■苦労知らずのプリンセス
STAP細胞論文捏造問題を取材してきたノンフィクションライターの杉浦由美子氏は手記を読んだ感想をこう述べた。
「純粋に研究者の手記として読むと違和感だらけです。実験の具体的な様子がまったく描かれておらず、こういう苦労をしたというディテールが一切ないんです。その一方で、周囲の“おじさま”研究者たちが彼女に与えた賞賛の言葉はかなり詳細に明確に記されていますね」
確かに『あの日』を読むと、“おじさま”研究者たちの小保方氏へのメッセージは強烈だ。米ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授は「これから先の留学にかかる生活費、渡航費は僕が援助する」と宣言し、また、小保方氏が若山照彦教授に「キメラマウス作製の胚操作を教えてください」という旨を願い出ると、「小保方さんが自分でできるようになっちゃったら、もう僕のことを必要としてくれなくなって、どこかに行っちゃうかもしれないから、ヤダ」と返答されたという。まるで蜜月カップルの甘い会話を聞かされているようだ。
杉浦氏のいうように、世紀の発見をしたと主張する研究者・小保方晴子氏の手記でなぜこのような蜜月エピソードが事細かに書かれるのか不思議である。この疑問を、現役の文系・理系の研究者や大学教職員たちに尋ねてまわると、「セクハラ告発が目的では」という説が複数の人の口から出てきた。
■セクハラを匂わす描写が目立つ
セクハラ対策を担当した経験がある大学教授がいう。
「セクハラを匂わす描写が目立ちました。特に印象的だったのは、小保方さんがハーバードに留学するきっかけになった東京の宴席での話です。普段まったくお酒を飲まないのに、注がれるままに飲んでしまい、畳の上で寝てしまった、というエピソードがあります。アメリカの大学ならば教員が学生を酔いつぶしたら、セクハラですよ」
また、東京大学の理学部出身で、小保方氏とは同世代で研究職の女性がいう。
「その酔いつぶされたエピソードの中で、女子医大の大和雅之先生が“はるさん、帰るよ!”と声をかけたとあって、驚きました。男性教員が女子学生をファーストネームで呼ぶってありえないですよ。それをわざわざ書くのもヘンですよね。私が先生に下の名前で呼ばれたとして、それを他人に話すとしたら、“あの先生は馴れ馴れしく、私を下の名前で呼んだ”とセクハラを訴える時だけです」
また、別の40代の理系研究者はこうも話す。
「小保方氏はES細胞窃盗に関連し、参考人として任意で警察の事情聴取を受けています。そのため、小保方さんにマイナスになるような証言をしないように、若山さんをはじめ、男性の研究者たちを牽制しているのかもしれません。彼女とおじさん研究者たちの間には、もっとすごい秘事があって、“もし私に不利なことを警察やマスコミに話したら、あんたたちが私にしたことを全部世間にバラすわよ”というメッセージが『あの日』の随所にちりばめられているように感じました。その証拠として、自殺した笹井芳樹さんの“恥ずかしい発言”は書かれていない。NHK特集で笹井さんが小保方さんに送ったメールが公開されましたが、まるで、ラブレターみたいな文面でしたから、他にもあったと思うのですが、死人に口なしで、笹井さんを脅す必要はないからでしょう。僕は男なので、『あの日』は怖くて泣きながら読みました」