アイドルの自宅侵入、全裸でバスタブに! 「中国版サセン」の異常な過激ストーカー事情
1月中旬、中国男性アイドルグループのメンバー宅にストーカーまがいの女性ファンが侵入し、全裸でバスタブに浸かっていたところを警察に取り押さえられる事件が起きた。アイドル本人がSNSでこの件を公開したため、ネットは騒然となったが、近年、中国ではこのような常軌を逸した行為で芸能人のプライバシーを侵害するファン=“私生飯”の存在が社会問題化している。私生飯とは韓国での「サセン」と同意で、ストーカー行為を行う熱狂的アイドルファンのことを指す。
自宅に侵入されたのは、5人組アイドルグループ「MIC」のチャオ・ヨンシン(28)。中国アイドル情報サイト「ifensi」(1月18日付)によると、女性ファンのストーカー行為は昨年7月から始まっていたという。
7月10日、テレビ局での番組収録の際、MICの控え室の前に黒いワンピースを着た長髪の女が長時間立っていた。女は突然控え室に入り込むと、持参した赤い紐で、チャオと自分の手を縛りつけようとしてスタッフに取り押さえられた。翌11日も別の歌番組収録の際、同じ女がスタジオに現れ、スタッフのフリをしてグループについて回っていたが、その後、不審者と判明して警備員により取り押さえられた。
その後も、チャオ自宅近所の交番で「彼氏が失踪した」と言い、電話番号や住所を聞き出して敷地内に侵入したり、チャオの宿泊先ホテルに押しかけ、MICの他メンバーが泊まる部屋に侵入して、勝手に朝食を作るなど異常行動を連発。さらに、チャオ本人やマネジメント会社に「自分をチャオの個人アシスタントにしろ」という内容のメールを送りつけていたという。昨年末には、女はチャオの中国版Twitter「微博」アカウントを乗っ取ることにも成功していた。
そして今年1月14日、チャオは外出先で家の中に設置した監視カメラの様子をチェックすると、まさに女が侵入中だった。チャオはすぐに通報し、警察と一緒に部屋に入ると、女は裸でバスタブに浸かっていたという。
ホラー映画よりも怖いこのストーカー事件だが、こうした私生飯によるストーカーまがいの行為は、いま中国で増えつつある。1999年生まれと2000年生まれの3人の少年で構成される中国版ジャニーズといわれるTFBOYSのリーダー・王俊凱(ワン・ジュンカイ、17)も私生飯に悩まされている。
私生飯に悩まされるTFBOYSのワン・ジュンカイ
昨年3月、ある男性が現役高校生であるワンの使った教科書を販売、本人に同意を得たと「微博」にアップ。それに対してワンは「学生のフリをして学校に侵入して、僕の数学の教科書や地理の資料集を盗んで僕のファンにあげたりしているけど、あなたのこと知らないし、同意もしていないよ。(そういう群衆が)学校の前や家の前で待ち伏せしたり、プレゼントくれたりするのも、本当にやめてほしい」とツイートした。
このような状況について、中国在住歴20年の日本人女性は言う。
「『顔飯』(ルックスだけが好きなファン)や『音飯』(楽曲だけ好きなファン)など、アイドルファンが細分化される中、ストーカー行為を働く『私生飯』は増えており、ファンの間でも反感を買っている。SNSでアイドルや芸能人と直接コンタクトできる時代なので、頭のおかしいファンは勘違いしてしまうんでしょうね。中国では、韓国式のアイドル文化が浸透していますが、その負の側面であるサセンも入ってきてしまったようです」
私生飯がこれ以上エスカレートして、殺傷事件などが起きないことを願ってやまない。
(ルーシー市野)