綾瀬はるか『わたしを離さないで』、視聴率1ケタ脱出が絶望的な4つの理由
“視聴率が獲れる女優”だったはずの綾瀬はるかが主演するTBS系連続ドラマ『わたしを離さないで』(金曜午後10時~)が、不振を極めている。視聴率は初回も第2話も6.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の大爆死で、2週連続プライム帯の民放連ドラで、まさかの最下位となった。
この低調ぶりには、さまざまな要因が考えられるが、その1つに、第2話まで子役の演技が続き、綾瀬をはじめ、主要キャストである三浦春馬、水川あさみの出演シーンがほとんどなかったためという点が挙げられるだろう。しかし、子どもたちが成長し、綾瀬らが本格的に出演した第3話も、視聴率は7.7%で、わずかに1.5ポイント上がっただけ。
今期ドラマではフジテレビ系『お義父さんと呼ばせて』(遠藤憲一&渡部篤郎主演/火曜午後10時~)第2話(同26日)が6.2%、テレビ東京『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』(小泉孝太郎主演/金曜午後8時~)第3話(同29日)が5.4%と前週より数字を下げたため、「3週連続ビリ」こそ免れたが、かなり“ヤバい” 視聴率であることに変わりはない。
また第3話は、前番組の『中居正広の金曜日のスマたちへ』が、ゲストのディーン・フジオカ効果とベッキー降板効果が相まって、17.9%の高視聴率を弾き出していただけに、事態は深刻。これはつまり、午後9時台には多くの視聴者がTBSを見ていたのに、午後10時台になると、大方の人が他局にチャンネルを替えてしまったという悲しい事態が起きたということだ。
さらに『わたしを離さないで』の視聴率低迷の要因として挙げられるのが、裏で高視聴率番組が放送されていたからという点だ。事実、裏番組の日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』では、初回放送日に『天空の城ラピュタ』が、第2回放送日に『魔女の宅急便』が流れ、それぞれ17.9%、18.8%と高い視聴率を獲得している。
ところが、第3話放送日の『金曜ロードSHOW!』で流れた『ジャックと天空の巨人』は10.9%と平凡な視聴率で、米倉涼子版がお蔵入りとなり、急ごしらえで制作された沢尻エリカ版『大奥』第2部(フジテレビ系)も9.2%、テレ東の『たけしのニッポンのミカタ!』も8.1%。強豪番組がなかったにもかかわらず、同ドラマは7.7%までしか数字が上がらなかったのだ。こうなってくると、「裏番組が強かったから、視聴率が悪かった」との言い訳はきかない。
それでは、真の視聴率低迷の原因はなんなのか? やはり原作の内容や脚本にありそうだ。原作は日系英国人作家のカズオ・イシグロ氏が2005年に英国内で発表し、100万部を超えるヒットとなった同名小説。臓器提供目的で育てられるクローン人間の姿を描くという衝撃的な内容で、舞台が英国から日本に置き換えられているが、日本にはなかなかなじまず、時代背景的にもやや古い。
また、ネット上での視聴者の反応は、やはり「重い」「暗い」が多い。「わかる人には、わかってもらえるドラマ。噛めば噛むほど味が出る」といった声がある一方、「どんなに好きな役者が集まっていても、このテーマはいただけない。地上波の連ドラで流すのはどうだろう。どうしても作りたければ、単発ドラマにすべきだったのでは?」との声もある。
ドラマは、第3話で、綾瀬らが世間から隔離された施設・陽光学苑を卒業。第4話から第2章となり、「コテージ」と呼ばれる一軒家での新たな生活が始まる。生まれながらにある使命を与えられた「特別な子ども」と教えられてきた彼女たち。今後も「臓器提供」という重いテーマのもとドラマは展開されることになるが、これまでの視聴率推移からして、ここから浮上するには、かなり険しい道のりが待ち受けているといえそうだ。
(森田英雄)