[女性誌速攻レビュー]「BAILA」12月号

「BAILA」が井森美幸召喚!! 例のダンスを“誇り”と語る彼女に、アラサーが学ぶべきこと

2016/02/01 21:00

 もう、「Nさん頑張って!」と思わずエールを送ってあげたくなるような“フルボッコ”状態。そもそもこのAとS、「パステルカラー=男を狙っている」「モヘア=婚活中」ってどれだけ想像力たくましいんでしょうか。そんなA&Sコンビは、A「あと僕の場合、タートルが好きなんですよ」、S「確かに。少し狙っている気はするけれど、実際に可愛いし、なによりも暖かそうでいい」という会話もしてました。タートル着ただけで「狙ってる」って、もはや「あいつと目を合わせたら妊娠するよ」レベルの言いがかりな気が……。

 最後は、Mの「僕たち世代の男性って、ニットに限らず、実は狙っている可愛らしいファッションよりも、シンプルをベースにしつつ、自分らしい着こなしを楽しんでいる女性のほうが好きですよね」という言葉で締められていますが、いやいや、いくらタートルが好きでも「狙ってる」っていう目で見られるんなら、「やめとこう」って気にもなりますよ! そもそも「本当に狙ってる」女は、男が「ピンク」に偏見を持っていることなんて当然知っているはず。その上で、あえて「僕たち世代が好き」だという“シンプル”なネイビーのニットワンピを着ている……その事実に、いいかげん気付いてほしいものです。

■人間みんな「一生ひとり」という真実

 そんな男にうんざりしたインタビューの後に是非読んでいただきたいページが「『このまま一生ひとりかも…』と思ったときに 30歳の不安に効く、本・マンガ・映画30」です。冒頭、自称「未婚のプロ」であるコラムニスト、ジェーン・スーさんはこう語ります。「アラサーのころはたまたま『周りが結婚して幸せそう』な時期なだけ。振り回されなくてもいいんです、あと、『一生ひとりかも……』って言うけど、人間みんな『一生ひとり』です」。この「一生ひとり」というのは、「仕事で成功している女」だからこそポジティブに捉えることができる言葉な気がしますが、バイラーズはどう受け取ったのでしょうか? 成功できるか不透明な筆者は、将来がいっそう不安になりましたが……。

 そして肝心のおすすめ作品を見てみると、これまた強烈です。『結婚に遅いことはない』(さくら舎)、『結婚相手ってどこに落ちてるの?』(幻冬舎)、『岡村靖幸 結婚への道』(マガジンハウス)、『サバイバルウエディング』(文響社)など、タイトルだけでおなかいっぱいな本がずらっと並んでいます。「想像妊娠」ならぬ「想像結婚」の域に達しそう。結局のところ、「結婚」という呪縛から逃れることが「おひとりさま」の最大のミッションなのではと感ぜずにいられません。


■「あのダンスも誇りに思える」と井森は語る

 先ほどの流れからわかる通り、今月号はやたら「うちの読者は未婚」と決めつけているような気がします。昨年6月まで「BAILA」の編集長を務めていた佐藤真穂氏は「日経エンタテインメント!」(日経BP社)のインタビューで、「既婚」「未婚」どちらの読者も対象にしているといった発言をしていたのですが、読者を未婚に絞り込んだのでしょうか。その極めつきとなるのが、「かっこいい先輩列伝」の井森美幸さんインタビューです。

 井森さんは1968年生まれだそうで、今年で48歳。ご存知の通り「まだ誰のものでもありません」とのことで、この言葉を笑いに昇華しているということは「結婚」の呪縛は最早なさそうです。「私が歌手だったことを知らない人でも、オーディションの時の私の(ひどい)ダンスのことは知っている(笑)。思い出すのも恥ずかしいようなことでも、あれのおかげで知ってもらえたと思えば、あのダンスも誇りに思える(笑)」と語っていますが、この続けざまの「(笑)」こそが“井森”。彼女の「黒歴史を丁寧に拾って、笑いに変えていくという作業」は、とことん自分自身と向き合ってきたからこそできたことのような気がします。これこそ未婚者向けを打ち出した「BAILA」が、彼女を「かっこいい先輩」とするゆえんであり、ある種「おひとりさま」ならではの強さなのではないでしょうか。おひとりさま、“こなす”のが難しいアイテムではありますが、こなし方を覚えたら、ある意味女の生きづらさを救ってくれる最強アイテムになるかもしれません。
(ルイーズ真梨子)

最終更新:2016/02/02 22:11
『BAILA(バイラ) 2016年02月号[雑誌]』
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