「カカオが便秘やダイエットに効く」は本当? チョコレートの都市伝説を管理栄養士が判定!!
――「チョコレートを食べると、幸せホルモンが出る」というのはどうでしょうか? そもそも「幸せホルモン」とは何かも併せて教えてください。
松岡 はい、幸せホルモンが出るといわれているのは本当です。疲れているときやストレスを感じたときにチョコレートを食べると、幸せな気分を感じますね。俗にいう幸せホルモンとは、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィンなど、幸せを感じるときに分泌されている脳内物質のことをいいますが、チョコレートにはこれらのホルモンの分泌を促進させる成分がたくさん含まれています。
例えば、チョコレートの原料であるカカオ豆に含まれる成分であるテオブロミンは、精神をリラックスさせたり集中力を高める効果があり、セロトニンの働きをサポートする作用があります。また、チョコレートに含まれるブドウ糖も、セロトニンの分泌促進作用のある代表物質です。さらに、チョコレートの香り成分には、集中力や記憶力を高めたり幸福感をもたらす効果のあるエンドルフィンを放出させる作用があります。
――チョコ以外にも、セロトニンなどを促進する食品はありますか?
松岡 幸せホルモンの代表格であるセロトニンの分泌を促進させる食品は、チョコレート以外にも、バナナ、豆腐、マグロ、かつお、そばなどがあります。チョコレートはさまざまな成分が多方面から幸せホルモン分泌を促進させてくれる上に、甘くておいしいので、幸せ効果を実感しやすい食品といえますね。
――では、健康面ではどうでしょうか? チョコレートが便秘に効くといううわさを耳にします。
松岡 チョコレートの原料であるカカオに含まれるポリフェノール、カフェイン、食物繊維には腸を活性化させる働きがあり、便秘解消に役立つ栄養成分です。中でも特に、便秘解消に効果を発揮するのは食物繊維です。
――チョコレートに食物繊維が入っているのは驚きです。
松岡 チョコの原料のカカオマスは成分の約17%が食物繊維で、食物繊維含有率が高い食材です。ですがそうはいっても、板チョコ半分食べても食物繊維1g程度。食物繊維の1日の摂取目標量は約20g以上なので、便秘解消を目的としてチョコを毎日せっせと食べるというのは、あまりオススメできません。便秘解消目的であればむしろ、食物繊維がたっぷり含まれる抹茶(大さじ1杯で食物繊維2.3g)、ドライプルーン(2個で食物繊維1.4g)、きなこ(大さじ1杯で食物繊維1.0g)などの食品を取り入れた方が効果的といえそうですね。