宜保愛子のものまねで爆笑 ヨシダナギが初めてのアフリカで出会ったコミュ力高いガイド
フォトグラファー ヨシダ ナギが世界中で見つけたイケメンをこっそりあなただけに紹介。
イケメンNo.01
ベイユー from エチオピア
わたしがアフリカの大地を踏んだのはエチオピアだった。ベイユーはその時のガイドである。つまりわたしの記念すべきアフリカの初ガイドにあたる。
その当時わたしはただの憧れだけでアフリカに特攻をかけたので、まったく英語が話せなかった。かろうじて話せたフレーズは、「サンキュー」「ハロー」「グッバイ」そして「ハングリー」。ボノボの英語理解レベルをもはるかに下回っていたのをわたしは自覚していたので、言語におけるコミュニケーションには不安があった。そこで電子辞書を一応持参したのだが、会話がスムーズに成立せず非常に困ってしまった。というか、もっと困っていたのはあっちだった。
今でこそ片言のアフリカン英語は、多少話せるようになったものの、それまでは英語が満足に話せないと馬鹿にするアフリカンが多いので苦労した。発音とか、めちゃくちゃ自己流なくせに。面倒くさくなって無視を決め込む奴までいる。ベイユーはそんなわたしと懇切丁寧に会話をしてくれた。
「Did you sleep well last night?」(昨晩はよく眠れたかい?)と言われ、「なに言ってんだこいつ?」という顔をすると、ねんねのポーズをしたり、身振り手振りで、コミュニケーションを図ってくれた。
一瞬、自分がボノボになったような気がしたが、そんな彼の丁寧さがとてもうれしくて、「YES!!」と毎回シャウトすると、「ナギ、今日のお前の英語は素晴らしく伝わるな!」と満足そうにほめてくれるのだ。
そんなこんなで、ベイユーのやさしさに甘えつつ、初のアフリカを楽しんでいたある日、「いつも僕は自分のことを話しているけど(お前がしゃべれないからだけど)、君のことも教えてくれないかい?」と言われた。もちろん、わたしもいろいろ自分の話をしたいと思っていたのだが、語彙が少なさ過ぎて諦めていた。
しかし、その日はたまたま気分が乗っていたので、テンションのギアをあげて、自分史上初の宜保愛子のものまねを披露した。結果、彼の爆笑をゲットしたわたしは「言葉」という壁をひとつ超えることができたのだ。
それから、少しだけ英語を習得したわたしは、別の機会でも彼にガイドを頼もうと見積もりを頼んだ。習得した英語で金額交渉を彼にしたところ、値下げ要求額が高すぎたのか、連絡が途絶えてしまった。言葉だけが全てではない、そんなことをわたしに教えてくれたイケメンだった。
いつか謝りにいかなくちゃ。
ヨシダナギ
1986年生まれのフォトグラファー。アフリカ人への強烈な憧れを幼少期から抱き「大きくなったら自分もアフリカ人のような姿になれる 」と信じて生きるが、自分が日本人だという現実を両親からつきつけられ、10歳の時に大きく挫折する。独学で写真を学び、2009年より単身でアフリカに渡り、憧れの彼らの写真を撮りはじめる。アフリカの裸族と共に裸になったことがさまざまなメディアで紹介され、その奔放な生き方と写真が注目を集める。現在はアフリカや途上国の秘境や僻地で写真を撮りながら、“アフリカ人の美しさ”や“アフリカの面白さ”を伝えるべく、講演会やコラム寄稿などの活動を積極的に行っている。
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