カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」2月号

「モテ男の年貢の納めどき」ページで、時代錯誤甚だしい価値観を普及する「CLASSY.」

2016/01/21 19:00

 しかし次のページがさらに地獄。「Sサイズのコのこんなところが好き! 男のホンネ集」には「高い棚に置かれたものが取りにくそうだったり、ちょこんと座っていたり、ふいに見上げてきたり…毎日何気ない仕草に癒されています」「小さいのに頑張っている感じにキュンとする!」「抱きしめた時のすっぽり感が好き!」など、Sサイズ女子に対する男のポジティブなイメージがズラリ。「小さいコのほうが気軽に話しかけられて、恋が始まりやすい!」とか、安心してください、デカイ女に話しかけても取って食ったりしませんから!

 この記事の恐ろしいところは、Sサイズ女子をそのまま「子ども」「猫」「ウサギ」などに置き換えてもまったく違和感がないところ。「可愛い女」とは大人扱いされていないどころか、人間扱いも怪しいもの……ということでしょうか。Sサイズ女子だって、人間ですよ。しかし誌面に登場した身長差20cm以上という凸凹カップルの男性の「彼女が小さいと多少腹が立っても許せる気がします」という発言に、当のSサイズ彼女が「狙ってないのに“ぶりっこ”な仕草が自然にできちゃいます」と言っていて……あぁもうどうぞお幸せにとしか言えねぇ。

■尽くして耐えればつけあがるだけ

 ちょこんと座っていたり、かわいく物を食べてたり、そういうのがお好みならリスでも御飼いなさいよと思いながら「Sサイズ」ページを読んでいると、これまた年明け早々血圧を急上昇させそうな企画を発見。それが、「モテ男の年貢の納めどき」です。

 会社経営、公認会計士、IT関連会社勤務……8人の「モテ男」が「今まで付き合った人数」「彼女の好きなところ」「結婚に必要なもの」などの質問に答えています。「今まで付き合った人数」という質問に、結構な人が「ぼちぼちです(笑)」「数人です(笑)」と(笑)で答えていますが、別にひとっつも面白くありませんから! しかも「結婚の決めては何ですか?」という核心的な質問には、「人間力」とか「飾らなくて良い空気感」とか、これまたひとっつも参考になりません。

 そして次ページに登場するのは、漫画家・山田玲司氏と、「CLASSY.」ではおなじみのぐっどうぃる博士。ぐっどうぃる博士は耳にタコができるほど話している、「男が結婚を決意する7つのスイッチ」を繰り返しているだけなのでここでは触れず、山田センセイのありがたいお話を紹介します。

 「幸せにしてほしいと相手に求めるだけの姿勢では結婚を掴めません」は確かにその通りですが、問題は後半。「相手がモテ男だと、交際中にも色々な試練があります。その最たるものは、とにかく相手に寛容にならねばならないということです」。最近人気俳優たちが次々と結婚したことに絡め、「きっと彼らの妻たちは、様々な状況に耐えて、ひたすら彼を愛し続けたのでしょう。その報酬として与えられたのが、妻という座のご褒美なんです」。妻という座のご褒美……2016年にもなってこんな話を聞くとは……。つまりここでいう「寛容」とは、男の浮気には目をつぶり、言いたいこともぐっと我慢し、常に笑顔で夫を迎え入れよということなのですね。は~年始からキッツいご説法ですわ。

 しかし「様々な状況に耐えて、ひたすら彼を愛し続けた」結果、夫は“紅白”に出るまでの人気を得たにもかかわらず、女性タレントと浮気。「卒論」(離婚届)を渡される……なんてことも完全にないとは言い切れない。恥ずかしいLINEでのやりとりが流出するかもしれない。耐え忍んだ分だけ、惑星の一つや二つ吹っ飛ばせるくらいの負のエネルギーが溜まってるのです。エエ男との結婚条件に「忍耐」「尽くす」以外の要素をそろそろください「CLASSY.」さん。
(西澤千央)

最終更新:2016/01/21 19:00
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