「夫は、子どもが生まれる前に戦争で亡くなった」 シリア難民キャンプに暮らす女性たちの実情
■ビーズで髪留めを作ったり、鍵盤ハーモニカに触れたり……
――本間さんは、難民キャンプでどんな活動をされていたんですか?
本間美里さん(以下、本間) 13歳以上を対象にした青少年向けのコミュニティ施設で、少しでも楽しい時間を提供する役目でした。キャンプ内には何も娯楽がなくて、みんな時間を持て余しているんです。それで、世界中のNGOなどが、いろいろなアクティビティを体験できる施設を作っていて、例えば、韓国のある団体は、テコンドー道場を作って、週に何回か韓国人の先生がテコンドーを教えに来てくれる。それって、すごく健全な時間の使い方ですよね。ボーッとしてたら、あまりいいことを考えないので。集中してものを見たり、何かをやっている時間は、自分の置かれている厳しい環境を忘れられる。だから、顔を出してくれた子たちには、学校ではないので「絶対来てね」とは言えないけれど、「来たかったらおいで」と声をかけるようにしました。
施設内で何をするのかは決まっていなくて、むしろ考えることが仕事でした。日本の文化を生かしたアクティビティだと、折り紙をしたり、日本からの支援で送られたうちわに絵を描いて、持ち帰って暑さ対策に使ってもらったり、発電機を借りて映画上映をしたこともありました。みんなに何がやりたいかを聞いて、ビーズでアクセサリーを作ったこともありました。
イスラム圏では、断食月のラマダンが明けたことを祝う、「イード」と呼ばれる犠牲祭があって、その時は必ず新しい服を着て、いっぱいアクセサリーをつけて、アラブ式の新年みたいなものを祝うんです。でも、お金がないので、新しいものが買えない。それで、あまりコストのかからないビーズで髪留めを作ることにしたんです。支援団体に材料費を現地業務費として申請して、150人分ぐらいの材料の買い出しに行きました。それはかなり人気でしたよ。
ビーズやレースを使って、髪留めを制作中手先の器用さが光る完成品縁取りの装飾に凝ったポーチ
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