シリア難民キャンプ元ボランティアインタビュー(後編)

「夫は、子どもが生まれる前に戦争で亡くなった」 シリア難民キャンプに暮らす女性たちの実情

2016/01/08 15:00
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シリア難民の女性たちが描いた絵の展示会の様子

(前編はこちら)

■ビーズで髪留めを作ったり、鍵盤ハーモニカに触れたり……

――本間さんは、難民キャンプでどんな活動をされていたんですか?

本間美里さん(以下、本間) 13歳以上を対象にした青少年向けのコミュニティ施設で、少しでも楽しい時間を提供する役目でした。キャンプ内には何も娯楽がなくて、みんな時間を持て余しているんです。それで、世界中のNGOなどが、いろいろなアクティビティを体験できる施設を作っていて、例えば、韓国のある団体は、テコンドー道場を作って、週に何回か韓国人の先生がテコンドーを教えに来てくれる。それって、すごく健全な時間の使い方ですよね。ボーッとしてたら、あまりいいことを考えないので。集中してものを見たり、何かをやっている時間は、自分の置かれている厳しい環境を忘れられる。だから、顔を出してくれた子たちには、学校ではないので「絶対来てね」とは言えないけれど、「来たかったらおいで」と声をかけるようにしました。

 施設内で何をするのかは決まっていなくて、むしろ考えることが仕事でした。日本の文化を生かしたアクティビティだと、折り紙をしたり、日本からの支援で送られたうちわに絵を描いて、持ち帰って暑さ対策に使ってもらったり、発電機を借りて映画上映をしたこともありました。みんなに何がやりたいかを聞いて、ビーズでアクセサリーを作ったこともありました。


 イスラム圏では、断食月のラマダンが明けたことを祝う、「イード」と呼ばれる犠牲祭があって、その時は必ず新しい服を着て、いっぱいアクセサリーをつけて、アラブ式の新年みたいなものを祝うんです。でも、お金がないので、新しいものが買えない。それで、あまりコストのかからないビーズで髪留めを作ることにしたんです。支援団体に材料費を現地業務費として申請して、150人分ぐらいの材料の買い出しに行きました。それはかなり人気でしたよ。

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ビーズやレースを使って、髪留めを制作中
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手先の器用さが光る完成品
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縁取りの装飾に凝ったポーチ
世の中への扉 戦争を取材する─子どもたちは何を体験したのか