カルチャー
シリア難民キャンプ元ボランティアインタビュー(前編)

「ただ、シリアに帰りたいだけ」 ボランティアが見た、シリア難民キャンプの過酷な環境

2016/01/07 15:00
本間さんが活動していた難民キャンプ

 シリアの泥沼化が止まらない。2011年初頭から始まった“アラブの春”をきっかけに内戦が勃発したシリア危機は、なかなか終わりが見えない。現在、ヨーロッパへと流れ込むシリア難民が激増するなど、大きな社会問題になっている。

 そんな中、行き場のないシリア難民を受け入れている周辺国のひとつが、シリア南部に位置するヨルダンだ。ヨルダンは人口の約7割がパレスチナ系住民と言われ、これまでに多くのパレスチナ難民を受け入れてきた。シリアの内戦が起こってまもなく、国内に数カ所のシリア人向けの難民キャンプも設置している。

 その難民キャンプのひとつで、14 年12 月から11カ月にわたりボランティア活動をし、昨年11月に帰国したばかりの本間美里さんに、難民キャンプの最新の様子について話を聞いた。
※詳しいキャンプ名や関わっている支援団体は、関係者の保護のため伏せている。

本間美里さん

■水道、風呂なしの仮設住宅「キャラバン」

――本間さんが活動していた難民キャンプは、どんな場所だったんですか?

本間美里さん(以下、本間) シリアの内戦をきっかけに、12年にできた難民キャンプで、シリアまで直線距離で10km、シリアの山が見えるぐらいの場所にありました。広さは3.3平方キロほど。難民の数はわたしがキャンプ入りした14年の12月時点で、約8万5,000人と言われていましたが、帰国する昨年11月には7万9,000人に減っていました。1~2年ほど前のピーク時は16万人と、世界で最も人が多い難民キャンプと言われていたので、今はどんどん減少傾向にあります。

――難民は増えているはずなのに、どうしてキャンプ内の人口が減っているのでしょうか?

本間 ヨーロッパへ行く、家族が残るシリアへ戻るなど、いろいろあると思うんですが、ひとつ大きな理由は難民キャンプの環境が過酷だからだと思います。シリアから難民が到着した場合、まず、事務所で難民申請をして、それが終わると、「キャラバン」と呼ばれるテントのような仮設住宅が、ひと家族にひとつ提供されます。家賃は無料です。ただ、水道は通っていないので、各所にあるタンクから水をバケツに入れて各家庭に持ち帰らなければいけないし、電気の使用も時間制限があります。

 治安があまりよくないので、わたしたちボランティアスタッフがキャンプ内を移動する時は、車移動で、必ずセキュリティがついています。トイレについては、以前は共用トイレのみでしたが、最近は各家庭にトイレを作る方向になっています。ただし、お風呂はありません。

 生きていくために必要なライフラインは確保されているのですが、今までごく普通の生活を送っていた人にとって、環境は過酷です。それで、生活が苦しくてもアパートを借りて、キャンプから出られたほうがいい。外に出ていく人は、そう思っているんだと思います。けれど、一旦キャンプの外に出てしまうと、情報が届かなくて受けられるはずの支援が受けられなかったり、周りのヨルダン人になじめなかったり、孤独に陥りやすいと思います。

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