中村麻布十番クリニック・中村光康院長インタビュー

無理なダイエットが「寝たきり」リスクに　30代から始めたい骨のアンチエイジング

2016/01/06 15:00

――30歳、40歳で本人が気づかないうちに骨の老化が現れるということはありますか？

中村　やはり、もろくなるという意味では気づかないところで徐々に老化が進行していることはありますね。先ほどお話したエストロゲンは加齢とともに徐々に減少していきますが、筋肉量も徐々に減少していくので、運動しなくなって、脂肪がついてきたり、肥満気味になってきたりと体は全体的に老化していくものなのです。その中で骨もだんだんと衰えていきます。

――まずは体の表面から衰えていって行き着く先が骨の老化ということでしょうか？

中村　そうですね。やはり骨粗鬆症になってしまうまでには時間がかかり、それ故、気づくのも遅くなります。見ただけではわかりませんから。

――本人は気づいてないけれども先生が診た段階で、もしかしたら骨に何らかの異常があるかもしれない、という症状はあるのでしょうか？

中村　例えば、怪我をした時に怪我が治りにくいとか、傷が治りにくいとか、骨折した時に骨を接ぎにくいとか、不健康な方は怪我などが長引くことが多いです。そうなると、皮膚の怪我なら皮膚の老化が進行している可能性がありますし、皮膚が老化しているのであれば、骨の老化が進行していることも考えられます。

――そういった老化が疑われる不健康な方の場合、どのような治療をされるのですか？

中村　治療は年代ごとに変わってきますが、いわゆる骨密度の低下が激しい高齢の方になると、注射や薬を使った薬物療法ですね。それか、ビタミンDの補給、あと、最近流行なのは女性ホルモンの分泌を促すお薬の処方ですね。

　ただ、若い方はまずは食事です。運動よりも食事を改善することが何よりも重要。やはりカルシウムを多く摂ることです。栄養というとサプリメントで補給すればいいと思いがちですが、それではあまり意味がないといわれていて、逆にカルシウムだけを摂り過ぎると、結石ができることもあるので注意が必要です。

――サプリメントで栄養を摂取するよりも食事で補うことの方が重要ですか？

中村　そうですね、栄養療法が中心です。ミネラルを補うなら魚やきのこ類がいいですね。あとは骨ごと食べられる魚や乳製品などから摂取できるカルシウム、そしてアンコウ肝や魚類に多く含まれるビタミンDも必要です。

　食事の次に意識したいのが運動です。若い方だと「ジャンプを取り入れた運動」がおすすめですね。跳ねたり着地したりする動作は足の骨を強くする運動になるのです。骨に弾力と抵抗力がついていきます。骨にとって、一番大事なのは足の骨ですから。