フジ、民放最下位“転落”の2015年! テレビ関係者が語る「1ケタ視聴率連発」の敗因
「その“転落”は、いつか起こると予想していたものの、やはり衝撃でした」と、さる業界関係者が語るのは、先月のフジテレビの視聴率だ。フジの11月23~29日のゴールデン帯(午後7~10時)の週間視聴率が7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。8.0%だったテレビ東京に抜かれ、在京キー局5位に転落したのだ。
フジは今年1月にも、第1週(12月29日~1月4日)のゴールデン帯とプライム帯(午後7~11時)の平均視聴率でテレ東に敗れて最下位になっている。かつてはほかのどの局からも下に見られ、“番外地”と呼ばれていたテレ東だが、そのありがたくない汚名は、今やフジテレビを評するものになりつつあるようだ。
では今回の「転落」はどうして起きてしまったのか?
「今回、テレ東に負けた原因は2つ。期待されていた特番の思わぬ低視聴率と、魔の火曜日ですね」と語るのは、前出関係者。11月23~29日までの週、フジはゴールデンタイムで2本の特番を放送した。
その1本が、27日の金曜に放送されたスペシャルドラマ『アンダーウェア』(午後9時~)。人気女優・桐谷美玲が、華やかなランジェリーメーカーの社員を演じた、いわゆる「お仕事・業界ドラマ」だ。若い女性に人気の桐谷を主演に据え、4週連続放送という強気の編成を組んだが、3週目となるこの日は何と4.3%の大爆死。まさに数字も「アンダー」を喫してしまった。
「この日のフジは、午後7時からの加藤浩次司会『巷のリアルTVカミングアウト!』が4.4%、8時からの『ダウンタウンなう』は亀田大毅がボクシング引退後にテレビ初登場だったにもかかわらず6.9%と、前枠も低調でした。前枠が高視聴率であれば、その“お釣り”といいますか、チャンネルを合わせる総世帯数も高いまま推移するので、その後の番組にもよい影響をもたらすのですが、この日はまったくアシストしてくれなかったようです」(テレビ局関係者)
さらに“誤算”だったのが、翌28日にオンエアしたもう1本の特番『世にも奇妙な物語』だ。この日は同シリーズの放送25周年を記念し、『ALWAYS 三丁目の夕日』や『永遠の0』などの山崎貴や『踊る大捜査線』の本広克行、さらには『リング』の中田秀夫、『呪怨』の清水崇といった日本を代表する名監督が作品を手がけるという項視聴率が期待できるプログラムだったが、フタを開けてみれば10.1%止まり。
「フジがこうして停滞してる中、テレ東は『アンダーウェア』の裏で『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』が10.0%、『世にも奇妙な物語』の裏で『出没!アド街ック天国』が8.3%と善戦。これが功を奏したようです」(前出・テレビ局関係者)
そして、先の業界関係者が語る、フジ転落のもう1つの理由である「魔の火曜日」とは一体なんだろうか。
「午後7時から10時まで、フジはゴールデンタイムにもかかわらず、全てキレイに“1ケタ”なのです。これは、最初にお話しした、テレ東に負けた週に限りません。フジでいえば金曜も同じようにゴールデン帯で1ケタが並ぶ番組が多いのですが、ただ『ダウンタウンなう』がかろうじて10%に届く回もありますので、金曜よりも『魔の火曜日』の方が救いようがありません」
11月24日の視聴率を見ると、午後7時の『ペケポンプラス』が5.6%、8時からの『優しい人なら解けるクイズやさしいね』が6.4%、9時からの『発見!ウワサの食卓』が4.5%と、確かに1ケタの大行進が続いている。
それに対し、裏のテレ東は『開運!なんでも鑑定団』(午後9時)がなんと13.8%の高視聴率を記録している。
「今年4月から、フジは2時間の特番枠『カスペ!』を廃止しました。『カスペ!』は、かつて『火曜ワイドスペシャル』という名称で『ドリフ大爆笑』や『スターどっきりマル秘報告』などが放送されていた老舗の枠です。『カスペ!』と名を変えてからも、『誰も教えてくれない年金の疑問イッキに解決スペシャル』や『江原啓之スペシャル 天国からの手紙』など高視聴率が見込めるコンテンツを送り出していました。この伝統をあえて捨ててレギュラー番組を組むようにしたのですが、これがまだ定着していないのです」(同じ関係者)
こうして、今回フジが5位に沈んでしまった原因は、「見込み違いによる自滅」と、「老舗枠の伝統を捨てた過渡期に起きる視聴習慣の弱まり」にあるといえる。果たして2016年、フジとテレ東はどんな最下位争いを繰り広げるのだろうか。