「お墓に住む」スラム街の人たち 丸山ゴンザレス、村田らむが語るアジアのディープスポット
丸山 今回は濃い部分をトークで使いましたけど、アジアは多様性があるので、ふいにそういうディープな場所に足を踏み入れようと思い立ったら、実行できちゃうんですね。これが例えばニューヨークだったらできないし、アフリカだったら、ひとつ隣の町へ行くのに大冒険だから、違う話になっちゃう。南米はリスクが高すぎる。そういう意味で、いちばん旅先としてバランスのがいいのがアジアかな。
南 やっぱり居心地がいいですよね。日本人にしてみたら物価も安いし。
丸山 アジアは近くて、値段がリーズナブルで、良くも悪くも街の変化を感じられる。1年後、5年後、10年後に行ってみたりとか、初回よりも2回目のほうが楽しめる。常に変化があって、開発も進んでいる。人々の価値観の違いもあるし、変わっていないものもあるし、それを発見するのが楽しいので、年末年始、ぜひ本書を参考に訪れてみてください!
■危険回避には、はっきりと「ノー」を言うべし
濃厚な話が盛りだくさんのイベントが終了後、丸山さんと南さんに、旅先での危険回避術について聞いた。
南 基本的にアジアって、そんなに悪い人はいないんです。ごはんを食べてる時に、「これ何ですか? おいしそう~」とか言うと、絶対、「食べなさい」みたいな展開になる(笑)。なので、いっぱい“女”を使って、ごちそうになってきたんです。でも、そういう経験を重ねてきたので、わたしは結構見極めができているんじゃないかと思っています。最後まで大変なことになった経験はなくて、家まで行って、「ここから踏み入ったらまずいかな?」という限界のようなものは嗅ぎ分けて、そこまで入り込まないようにしていますね。恋愛とか、そういうディープなことはしないように、人を見分けることが重要です。
丸山 「こいつ、俺に気があるのかな?」と思われたとしても、さっきのインドで宿の人が部屋に押しかけてきた時の話みたいに、「いたしませんか?」と迫ってくるような人には、基本きちんと「ノー」って言う?
南 「ノー」って言いますね。
丸山 やっぱり「ノー」って言わないといけないんですよね。意思表示の方法としては、はっきりと拒絶の言葉や行動で示すっていう感じですかね。日本人特有の「察して」的な以心伝心は海外では考慮に入れないほうがいいです。
今回のイベントで紹介された場所は、あまりにもディープすぎて、実際に行くのは難しいかもしれない。しかし、最後に聞いた危険回避術は、数々の危ない場所へ挑んできた達人の言葉だからこそ、説得力がある。どこへ旅行する場合でも参考になるだろう。
(上浦未来)
丸山ゴンザレス(まるやま・ごんざれす)
1977年生まれ。国内外の犯罪を取材するジャーナリスト。危険地帯への潜入、アンダーグラウンドな人々へのインタビュー、危機管理、考古学、旅、格闘技などの体当たりルポと地道な調査が得意。学生時代や無職時代に資金を作っては旅を繰り返すバックパッカーだった。著書に『アジア罰当たり旅行』(彩図社)、『旅の賢人たちがつくった 海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)など多数。
南まい(みなみ・まい)
元女優。事務所の解散をきっかけに世界一周を決行し、510日間、約65カ国を巡って帰国。女ひとり旅本『独女世界放浪記』(ポプラ社)を出版し、旅番組レポーターや、各種旅イベントでのトークライブ、セミナー、講演なども行う。NHK BS1『地球テレビ エルムンド』番組ロケで、約70日間の世界2周目も達成。
村田らむ(むらた・らむ)
ライター・漫画家・イラストレーター。『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス・スーパースター列伝』(ロフトブックス)など5冊のホームレス関連の本を出版している。ほかにも、ゴミ屋敷業者で実際に働いた経験を元に書いたルポ『ゴミ屋敷奮闘記』(有峰書店新社)などサブカルチャー、アンダーグラウンドの分野の取材を精力的に続けている。