仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

ロンブー淳夫人を「リスペクト」するくみっきー、その発言に見る“有名人妻”の資質

2015/11/19 21:00

 廃れそうで廃れない“有名人妻”。来年以降、その座に座り、それもかなりの大物をしとめるのは、モデルのくみっきーこと舟山久美子ではないかと思っている。『旅ずきんちゃん』(TBS系)での本人の発言によると、父親の事業の失敗で一気に貧乏となり、天井が穴だらけの家に住み、ティッシュペーパーを食べたという経験から、「現実しか見ない」と結婚相手選びには経済力を重視するタイプだと発言していた。結婚に金を求めると、視聴者からバッシングされるものだが、くみっきーの場合、極度の貧乏体験と親の借金4,000万円を返したというエピソードから、“かわいそうな子”“孝行娘“という印象が勝っている。

 独身女性が結婚を考えるとき、多かれ少なかれ相手の収入に無関心ではいられないが、あまたいる芸能人の中で、くみっきーに高い“有名人妻”の資質を感じるのは、くみっきーの脳内に“序列”をわきまえる思考回路が埋め込まれていることである。

 同番組の企画は、どん底ビンボー経験者4人が下北沢で酒を飲むというものだった。メンバーは『ホームレス中学生』(ワニブックス)の著者・麒麟の田村裕、モノマネ芸人のやしろ優、貧しすぎてコオロギまで食べたというモデルの緑川静香だ。今住むマンションの家賃を尋ねられたくみっきーは、「20万以上」「事務所の中では上の方なので、事務所が借りてくれている」とした後、「大きな事務所ではない」と付け加えた。

 くみっきー発言は「きちんと結果を出している(事務所に利益をもたらしている)が、上には上がいることを知っている」という意味であり、この“冷静さ”や自分が頑張ったところでたかが知れているという“諦念”は、“有名人妻”の肩書と引き換えに、夫を第一にして滅私の人生を送らなくてはいけない“有名人妻”に必要な資質と言えるのだ。

 余談だが、くみっきーは『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の「ホントはいい女GP」(田村淳が女性芸能人の家に宿泊し、家具のセンスや料理などのおもてなしをジャッジする企画)において、淳に「くみっきー好きかも」と言わしめ、帰宅の際には「リスペクトする香那さんへ」と淳夫人に化粧品など手土産を持たせる気遣いをみせた。


 これまで出演した女性芸能人で、淳夫人にお土産を持たせた人はいない。淳夫人といえば、“プロ彼女”の先駆者にして代名詞的存在。“先達”をばっちり掴むあたり、やはりくみっきーはただ者ではない。『ナカイの窓』(日本テレビ系)において、36歳の一般人男性と熱愛宣言をしたが、相手のプロフィールは明かされていない。それだけ本気、もしくは大物物件と言えるのではないか。続報が今から楽しみだ。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2015/11/19 21:00
『きゅん くみっきー』
真顔で言ってみたい言葉「リスペクトする香那さんへ」