コラム
角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第100回記念対談(後編)

角川慶子×小阪有花「保育園で見かける親子の心の行き違いと、『うちの子を見てない』という保護者の思い込み」

2015/11/22 16:00

■“グラドルという汚点”を肯定できるようになった

――お2人とも芸能界を経て保育事業に携わっているわけですが、今、天職を見つけたという思いはありますか?

小阪 「これだ」と思える職業に出会えてよかったと思います。自分の周りで保育業界に転身する人は誰もいなくて。

角川 いないですよね。私も全然いなくて、誰にも相談できない中で始めました。初めはネットでも「絶対失敗する」とさんざん叩かれて。それが「絶対成功してやろう」という原動力になりましたけど。

小阪 私の周りも反対ばかり。「できるわけない」「マイナスからのスタートだよ」と。それでも「これ以外やりたくない。止めても無理」とも思いました。

角川 実は、私も小阪さんが保育業界に転身と聞いたときには、一般の方と同じように「大丈夫?」と思ったんです。でも、定員いっぱいになったと聞いてうれしかった。芸能活動は、もうしないんですか? 私は文化人枠としての活動は続けています。テレビに出ると「今日も保育園のプロモができた」「この分、広告出すとしたらいくらかな」と、よく考えます。

小阪 そうですね。タレント活動には興味はないけど、メディアに出ることがどれほど影響があるかをわかってるからこそ、あらためて芸能について考えるチャンスをもらえたとは思います。自分の学んだことを発信することによって、なにか気づいてくれる人がいれば、結果としてそれが子どものためになる。そういった意味では、自分の考えがこうして埋もれずに発信できるありがたみを感じます。実は、芸能界を辞めたあと、アイドルだったことが汚点とすら思ったことがあったんです。そもそも、なんで芸能界なんか入っちゃったんだろう、って。今は過去を肯定できるようになりました。今日、こうして角川さんと話していて、私はとにかく子どもたちに笑ってほしいと願っているんだと、あらためて思いました。保育がビジネスという意識になるのは、次の次のステップくらい先かな。

角川 子どもたち、保護者、スタッフの笑顔を守るためにも、ビジネスとして続けることが大事。

小阪 がんばります! 今度遊びに来てください。

角川 行きたいです。うちの園にも来てくださいね。
(構成/安楽由紀子)

(プロフィール)
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書に加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。11年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では7歳の愛娘の子育てに奮闘中。

小阪有花(こさか・ゆか)
1985年、神奈川県生まれ。講談社主催のグラビアコンテスト『ミスマガジン2004』でグランプリを獲得し、「小阪由佳」としてデビュー。スタイルを生かしたグラビアアイドルとしての活動や、ちょっと抜けた言動でバラエティ番組などで人気を博す。09年に芸能界を引退し、数々の保育園で働いたのち、15年春より保育園のコンサルタントを始め、「ウィズママ保育園」をプロデュース。現在は、片道2時間をかけながらも週3日は保育園に赴き、子どもたちと触れ合っている。

最終更新:2015/11/24 09:38
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