生理痛は本来「ない」のが正常 子宮内膜症のリスクが高まる痛みは漢方で改善
生理だから痛いのは当たり前……ではないとわかっていても、打つ手は鎮痛剤ぐらいしかない。けれど、それも体にいいのか悪いのか。なんとなく募る罪悪感。ただでさえ気が塞がる生理中にこんな余計なことを考えたくない女性たちに対し、医療の世界からは「痛みをブロックするのは正解!」という声が届いている。
医師が月経困難症や子宮内膜症に関する啓発を行うサイト「子宮内膜症情報ステーション」によると、生理痛は子宮内膜症の症状のひとつ。痛みの度合いと内膜症の深刻度は関係なく、まだ初期なのにひどく痛む人もいれば、かなり重い症状が出ているのに軽い痛みしかない人もいる。ただ、まったく痛くないという人はまずいないため、少しでも痛みがあるなら一度婦人科を受診してほしい、と同サイトは呼びかける。
■生理痛に耐えると悪影響しかない
しかし検診の結果、異常がないといわれた、または、子宮内膜症はあるけど治療には至らずしばらく様子を見ることになった……などの結果を受けて、そのまま痛みを抱え続ける人も少なくない。それなのに、母親からの「生理とはそういうもの、お母さんも痛いのを我慢してきた」という教えが胸に引っかかっていたり、「鎮痛剤を飲みすぎると、陣痛に耐えられなくなる」という都市伝説的言説を信じていたりして、鎮痛剤を飲むことへのためらいが消えない場合はどうすれば?
医療界の答えは、「生理痛に耐えるのは無意味どころか悪影響しかない」。生理痛が重い人は経血が逆流しやすくなり、いろんなところに内膜症を作る可能性がある。すなわち、いまは大丈夫でも内膜症になるリスクが高まるということ。また、子宮がはがれた経血を押し出そうと無理に収縮するときに出る物質によって、痛みを感じるが、この際、内膜症を悪化させることもすでにわかっている。要は、痛みをブロックすることで内膜症の発生を防げるうえに、すでに内膜症がある人もそれ以上の悪化を防げるのだ。
現在は、生理痛に特化した鎮痛剤がいくつも発売されていて、そのテレビCMを見ない日はないほど。しかし、市販薬に抵抗がある、またはどれを試しても合わないという人は、病院で相談して処方してもらうという手もあるが、生殖工学博士で『私、いつまで産めますか?ー卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存ー』(WAVE出版)の著書がある香川則子さんは、次のようにアドバイスする。
「近い将来に妊娠を考えているのであれば、薬は意識して減らしましょう。妊娠中は薬を飲めませんから、妊活中からその状態に慣れておく必要があります。生理痛や偏頭痛、さまざまな体の不調を薬でねじ伏せてどうにか激務をこなしている女性、ほんとうに多いですよね。いきなり薬断ちをするのは心身ともに負担がかかるので、婦人科でも内膜症の治療に詳しい先生に相談して徐々に量を減らしたり、漢方薬を上手に採り入れたりすることをお勧めします。かかりつけの婦人科をもつのもいいですよ」