高橋真麻と馬場典子の外食エピソードに見る、“食通の女”が男から嫌われてしまうワケ
真麻も負けてはいない。真麻はデート前に店に電話して、苦手な食材や味付けについてあらかじめ指示をしておくそうである。真麻いわく、「オーダーの際に、あれが食べられない、これが食べられない、味噌汁の味を薄味にしてくれなどと頼むのは、一緒に食事をしてくれる人に対して失礼だから」だそうであるが、店の人に失礼と思わないのは、お嬢様特有の想像力のなさと言えるのではないだろうか。真麻はブログで、一人ラーメン、一人焼肉をしているとつづり、“非リア充”“庶民アピール”に余念がないが、その一方で「スープは薄味にしてくれと頼む。対応してくれなかったら、その店には二度といかない」そうで、これも食通独特の“エゴ”ではないだろうか。
高級店と客のわがままは、“持ちつ持たれつ”である。店にどれだけお金を落としてくれるか、また、その人の世間的価値(一般人より有名人が来てくれた方が、店にとっては宣伝になるし、プラスだろう)によって店の対応は違う。真麻も馬場も、そのあたりを満たした価値ある客なのだろう。高級店であるほど、作り手のプライドは高く、自信を持っている。「オレの作った料理の価値がわかるか」と投げかける店主と、「私は全てわかってます」と言う“上から目線”の女。男は自分より知識がある女が嫌いというのは、使い古された恋愛の基本セオリーだが、こと食通の女においていえば「女は男より秀でるな」という問題ではなくて、この一種の店主と女のイチャイチャに付き合わされるのが、男にとっては「たまったものではない」のだろう。
同じ食通でも、直美は好ましく見えた。それは、番組で直美が紹介した店が、夢庵という庶民的なファミリーレストランだからではない(余談だが、直美はTBSの『櫻井有吉アブない夜会』で、後輩を伴って高級ステーキ店を訪れていた)。直美は、「その店に詳しい人が、オーダーをすべき」という主義を持っている。これはうまく他人にゆだねることができる、上から目線ではないという意味である。
徳井は番組中、馬場を「ヤバい」「面倒くささが漂っている」、真麻に対して「ラーメン屋でそれすんの?」と呆れ返っていたが、“食通”という名の上から目線女子は、そこに込められた非難に気づかない。ま、いいや。好きなだけこだわって食べてくれとしか、かける言葉は見つからない。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
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