「ちゃんとしてなきゃ」と飲酒に罪を覚えるママを覆う、“世間体フィルター”の外し方
<11月10日 田房永子>
(C)田房永子
いいなあ、無国籍ごはん。このあいだ、友達との飲み会で久しぶりに夜外出して、ビストロっていうんですか、バール? 的なところに行って、ローストビーフとかロースト鴨とか生牡蠣とか炙ったあぶらみみたいな肉で巻いたひとくち寿司食べて、「むはーーーーーっ!!」 ってなりました。水木しげる先生的な「むはーーーーっ!!」。
そういうメニューって、普段全然食べないから、この世に存在してることも忘れてましたよ。私まったく酒が飲めないんですけど、乾杯する時はとりあえずつがれるじゃないですか。「全然飲めないんで、ちょっとでいいです」って言った時、ちゃんとものすごい少ない量を入れてくれる人がいるんですよね。あれ、飲めない人にとってはうれしいんですよ。私だけかもしんないけど。
自分は飲めないってわかってるのに、毎回毎回、乾杯の一杯に無意識に期待を込めちゃうんですよね。口をつけながら、頭のどこかで「これは飲めるかも」「ここから『飲める人』になれるかも」ってちょっと思ってる。だからすごい少ない量入れてもらえて、且つそれがおいしくて飲んじゃうと「飲み干せた」感がうれしいんですよね。子どもか!
その日も、友達がほっそいグラスに4センチくらいシャンパンついでくれたんですよ。ものすごいおなか空いてたし、飲んでみたら「あっ、これ飲める!」って感じで、ゴクゴク飲みほしちゃった。
その数秒後、一気に全身に酒が回りマリネ的なものを口に入れまくってモグモグしたあと15分くらいボーーーゼンとしちゃって、ただその場にいるって感じでまったく会話に入れませんでした。
シャンパンを飲んでる瞬間は「いける! これ、おかわりしよう! っていうか買って家で飲もう! 晩酌というカッコイイ行為が、とうとういよいよ私にもできる! 奇跡のドリンクを見つけた!」と思って、ボトルのラベルのロゴを覚えて帰ろうとガン見したりしてるんです。でも、ダメ、数秒でトリップしたあと即眠くなる(宴が始まって10分の時点で)。結局いつもこの、酒のおかわりをしないままおひらきになるパターンなんです。