「ちゃんとしてなきゃ」と飲酒に罪を覚えるママを覆う、“世間体フィルター”の外し方

　「なんか、ひたすらニコニコしちゃってて」

　……ですよねぇ、そうなっちゃいますよねぇ。

「あのぅ……花子ちゃんのお母さんって（私）……お酒とか飲みますかっっ!!??」

　……突然、意を決したみたいにそのお母さんに言われて、私、「は？」ってなった。けど、「……なんかこの人、いい人なんだろうなぁ」みたいな気持ちにもなってしまった。なんつーか、「けなげ」っていうかね。そう、けなげな感じがしちゃったんだわ。彼女の、「ちゃんとしたお母さんでいなくちゃって思ってるけど、でも私そんなに完璧にもなれないし」みたいな感情が、どーん、って私にぶつかってきた気がした。
「……いや～……私、毎晩飲んでますよ」って答えたら、そのお母さん、「あっ、私もお酒、嫌いじゃないんです!!　っていうか、わりと好きで!!」って、すーんごいホッとしたみたいな顔で、それで、何度も何度も「お酒、嫌いじゃないんです!!」を、連発してた。……ああ、なんだか、せつないですねぇ。母ちゃんとは、常に世間の顔色をうかがってなきゃいけない生き物なんでしょうか？

　いつもいつも、ちゃんとしてなきゃ、ちゃんとしてなきゃって。いや、父ちゃんたちだってそうなんですけどね。「世間体」とかゆーめんどくさいことがいろいろありますからねー。

　でも、こんなこと言うのもなんですが、実は私、こういう「世間体を気にしてるお母さんたち」に、本音吐かせるのうまいんですよ。まぁ、私がこういう職業って向こうも知ってるから、話しやすくなるのかもしれないけど。先にこっちがケツの穴さらしてると、向こうもつられて、ついさらす、みたいな感じで。

　以前、年長組の次男のクラスで「お母さん飲み会」があったんですが、私が「これ、『スナックらいおん組』ってノリでしゃべってもいいんでしょ??」って提案したら、そしたらもー出るわ出るわ、亭主への不満。「ダンナ見てても、もう、何も感じない、ヤバい!!」とか、「全然ヤる気になれない!!」「宅急便のお兄さん見てドキドキすんのって、マズいよね？」等々。いやいや、そんなん、ぜーんぜんマズくないし!!　ふつーじゃんそんなのって思うし!!　「お母さん」が「女の人」になってるとこを目の当たりにすると、何故だかすごいしみじみする。

　お母さんって、なんか、「じゅっぱひとからげ」感があるというか、みーんなおんなじ、みたいに見えるけど、「女の人」になると、途端に個性が際立つというか。話聞いてて、ああ、みんないろんな人生今まで歩んできたんだなぁ～なんて、ミョーにしみじみしちゃうんです。

　色々、腹の底に溜め込んでることがある女性の方々、是非わたくしの「無国籍居酒屋」に来て下さいませ、おいしいお酒と無国籍デブ料理で、あなたがいらっしゃるのをお待ちしております☆（……なんて言ってみたいもんです、でも、私が店のマスターになったら、多分客より飲んでしまう気がする……）

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