「人が信用できない」と悩む福田彩乃に見た“嫉妬されてる”という自意識と嫌われるワケ
雑貨店でばったり福田と会ったコロッケは、そこでネタに関する相談を持ちかけられる。立ち話をするうちに2時間が経過。店は閉店時間となり、コロッケは買い物ができなかったそうだ。コロッケは福田を「空気の読めない女」「迷惑な女」と表現したが、これが嫌われる真の原因ではないだろうか。
偶然会った大先輩に、相手の都合も考えず立たせたまま悩み相談するのは非礼にあたるが、福田はその理由を、「自暴自棄で、何をやってもダメだと思っていたんです」と答えている。切羽詰まった非常事態だったと訴えたいのかもしれないが、自分が大変なら、何をしてもいいという考え方こそ、「迷惑な女」の典型である。
「人を誰も信用できない」「人が寄ってくるのは、個人に魅力があるからではなく、人気にあやかりたいから」。「石橋温泉」において福田が打ち明けた悩みは、矢口やダレノガレのそれと違って、精神的な闇を感じさせるものがある。が、福田の悩みがそれだけ深いと、私は思わない。
というのも、「悩んでいる人」と「悩んでいることを公言する」人は、違う生き物だからである。私の個人的な経験から言わせてもらうと、周囲に「精神的に病んでる」「大変」「悩んでる」とアピールする人は、実はさほど悩んでおらず、単に「かまってくれる人を探している」かつ「人の話を聞いていない」人である。
人に相談をしたら、その人の提案した解決案を必ず実行しなくてはいけないのかと思う人もいるかもしれないが、相談された側は、「話を聞いてない人」と「話を聞いて、違う解決法を選んだ人」の区別は容易につく。話を聞いていない人は、同じ質問を何度も何度もするし、他人の時間を奪うことに対して、申し訳ないと思う気持ちが希薄だから、礼儀に欠けた振る舞いを平気でするものだ。
事実、コロッケに対して、福田は謝罪の代わりに「親身になって相談に乗ってくださった」と述べていた。これはコロッケを立てた褒め言葉だが、私には、福田が「コロッケは優しいから、相談してもよい」と勝手に解釈しているように思えてならない。
司会のダウンタウン・松本人志と浜田雅功は、それぞれ「先輩を立たせて相談って……」「迷惑だ」と、福田の常識のなさに呆れていたが、福田はそれらにも恐縮するそぶりを見せない。若者は往々にして自分中心なものだが、福田の自分勝手は突出している。「嫌われるのは、そういうところ!」そう目の前で指摘したとしても、話を聞いてないのであらためないところが、また厄介である。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの」