性転換した元男性が中国ミスコン出場! 主催者困惑も「孝行息子」といわれる素顔
美容整形や性転換手術が盛んに行われている中国で、元男性がミスコンに出場して話題となっている。
9月、広州のシャングリラ・ホテルで「国際連合国ビューティコンテスト」の中国予選決勝が開催された。中国各地の予選を勝ち抜いてきた22名の美女とともに、もう1人の“女性”も特別推薦枠で決勝大会に出場した。それが、29歳になる劉婷さん(リウ・ティン)。この劉さん、実は昨年までは男性で、今年になってから性転換手術を受け、戸籍上の性別も変え、晴れてこのミスコンに出場することができたことから、大きな注目を集めていた。
彼女はいわゆる“性同一性障害者”で、自身の体の性と心の性のギャップに対して大きな悩みを抱えていた。そして昨年、ついに性転換手術を受けることを決断。10月にまず顔の整形手術を受けて女性っぽい顔になり、今年1月に性転換手術、そして3月には豊胸手術を行った。今では戸籍上の性別も女性となり、子どもを産むことは不可能だが、それ以外は普通の女性とほぼ同じだという。
性転換手術を受ける前の、男性時代の劉さん
ところで、性転換者からの応募という前代未聞の出来事に、ミスコンの主催者側は当惑。内部で議論を重ねたが結論が出ず、結局、劉さんとの面談でその熱意に打たれて出場を許可。すでに地区予選は終了していたため、推薦枠という形で特別に決勝への出場を認めたのだった。
性同一障害というハンデを克服してミスコン出場を果たした劉さんだが、彼女が乗り越えた困難はこればかりではなかった。
彼女が13歳の時、母親が重い病気にかかり、父親は家を出てしまっていた。そのため劉さんは、大学入学後に大学近くに部屋を借り、そこに母親を住まわせ、母親の面倒を見ながら勉学に勤しんだ。その際に大学や社会からの多大な援助を受けたという彼女は、その恩返しにと、貧しい学生を援助するための基金を設立。それらの功績が認められ、2007年、21歳の時に、中国共産党中央宣伝部などの公共機関が制定する「全国道徳模範」の1人に選ばれたのだった。
劉さんは上位3名の中に選ばれることはなかったものの、「最佳蝶変賞」、言うなれば「蝶のように美しく変化したで賞」という特別賞が与えられた。彼女は現在、10月に出版予定の自伝小説を執筆しており、今後は女優の道に進むことを夢見ているという。
(佐久間賢三)