石川敏男の芸能デスクレポート

「ワインの飲み方教わった」川島なお美さん、芸能レポーターが語るインタビューの思い出

2015/10/01 18:20
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公私ともにさまざまな伝説を残した女優でした

 亡くなるわずか17日前、シャンパンのイベントにご主人でパティシェの鎧塚俊彦さん(49)と一緒に出席していた川島なお美(享年54)さん。ノースリーブのドレスからのぞく二の腕や肩が、やけに細くなっているのに驚いた人も多かっただろう。周囲の驚きと心配をよそに、川島さんは「元気です。激やせとか言われてる場合じゃない。2キロのダンベルを持って発声練習をしています」と、これからの舞台にかける思いを話し、気丈に振る舞っていた。

 昨年1月、12時間にわたる胆管がんの手術をしたときも、たった2週間で仕事に復帰していた。川島さんの根底には、女優として大きく成長させてくれたという作家・渡辺淳一さん(享年80)の言葉があったような気がする。

 渡辺さん原作の『失楽園』(講談社)で、花開いた川島さんの女優生活。渡辺さんは、彼女に「女優は全てさらけ出してなんぼ」という言葉を残したという。川島さん自身、各界の著名人らと共著した『私の死生観』(KADOKAWA/角川書店)で、「最後の最後まで力を振り絞って女優として天寿をまっとうするってすばらしい。つらさ、苦しさ、痛さを伴うのは壮絶ですけど、女優としては憧れます」と書き綴っている。肋骨を骨折し、ケガの痛みとも戦いながら舞台を続けていた川島さんのモットーは、「舞台上で死ねたら最高」だったそうだ。

 鎧塚さんも「最後の最期まで女優として、女房として、人として全力で生を全う致しました。なお美を支え応援して下さった皆様方には心より御礼申し上げます。息を引き取るまで川島なお美はやっぱり川島なお美のままでした。本当に立派でした」と、妻の人生をこう表現した。

「ワインが好きとか嫌いじゃなくて、私の体はワインでできているの。私の血も肉もワイン」と言っていた川島さんを、『キャッチ!』(日本テレビ系)という番組でインタビューしたことがあった。スタッフが川島さんに気を使い、フランス料理店で高級ワインを用意しての単独取材。川島さんが、ワインに何点の評価をしたかは忘れたが、私の飲み方に「あら、ワインをビールみたいにお飲みになるのね」と言われたことを思い出す。確かに川島さんは、ワインをしっかりと味わうように口にしていた。ガサツな私は、いまだに川島さんの教えを守れずに、ワインをビールのように飲んでいるかもしれない。

 多くの俳優、女優仲間に送られるであろう10月1日のお通夜。末期がんを宣告されたものの奇跡を信じた鎧塚さんや“女優・川島なお美”とかかわった多くの俳優たちは、“頑張り屋”だった川島さんをどんな言葉で送ることになるのだろうか。弔辞は、家族ぐるみの交際があり、川島さんが尊敬していたという女優・倍賞千恵子(74)と作家・林真理子(61)が読むことになっている。女優人生をまっとうした川島さんのご冥福をお祈りしたい。


石川敏男(いしかわ・としお)
昭和21年11月10日生まれ。東京都出身。『ザ・ワイド』(日本テレビ系)の芸能デスク兼芸能リポーターとして活躍、現在は読売テレビ『す・またん』に出演中。 松竹宣伝部、『女性セブン』(小学館)『週刊女性』(主婦と生活社)の芸能記者から芸能レポーターへと転身。

最終更新:2015/10/01 18:20
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