“柴犬愛”が溢れる少女マンガ界のエース『わたしはあなたの犬になる』で犬欲を満たす!
女子マンガ研究家の小田真琴です。太洋社の「コミック発売予定一覧」によりますと、たとえば2015年9月には940点ものマンガが刊行されています。その中から一般読者が「なんかおもしろいマンガ」を探し当てるのは至難のワザ。この記事があなたの「なんかおもしろいマンガ」探しの一助になれば幸いであります。後編ではおすすめの新刊と10月の刊行予定をご紹介します。
◎犬マンガ界の新エース登場! 『わたしはあなたの犬になる』
なぜかマンガ界(特に少女マンガ)では猫派が圧倒的に多く、猫マンガなら即座にいくつもの名作が思いつくのですが、犬マンガとなるときら先生の『まっすぐにいこう。』(集英社)や、犬マンガと言っていいものか微妙なところですが、佐々木倫子先生の『動物のお医者さん』(白泉社)など、数えるほどしかありません。そんな少女マンガ界に颯爽と現れたのが、都陽子先生の犬マンガ『わたしはあなたの犬になる』(祥伝社)です。
とにかく犬がかわいい! 柴犬万歳! 特に黒柴! 体温が上がると犬に変身してしまう一族を描いたラブコメディなのですが、物語のテンポの良さに加え、犬たちのかわいさであっという間に楽しく読めてしまいます。
特筆すべきは犬の動きです。前脚を壁に掛けて立つ姿や、腹を見せて寝転ぶ仕草などなど、汗や涙などのマンガ的な記号は多用されるものの、絵は実際の犬の動きをかなり正確に描写しています。デフォルメされた犬ではなく、実際の犬のかわいいところを、きちんと描いてくれているのです。都先生、これはかなりの犬好きと見ました。
都先生は『カレは女とシたことない。』(祥伝社)『地下アイドル、職場の男にバレまして』(同)に続く3冊目の単行本となります。『アヤメくんののんびり肉食日誌』(同)の町麻衣先生とともに、祥伝社「フィール・ヤング」誌の次世代のエースとして期待されている存在です。ぜひご注目ください。