大統領選へ出馬宣言したカニエ・ウェストを、テイラー・スウィフトがキュートな冗談で応援
ラッパー、音楽プロデューサー、デザイナーと、さまざまな顔を持つカニエ・ウェスト。欲しいものは全て手に入れてきた彼は相当な自信家で、真面目な顔で「オレは神」「宇宙一のロックスター」などと発言。恋焦がれてきたお騒がせセレブのキム・カーダシアンと結婚してからというもの、一層ナルシシズムが加速している。
そんなカニエが、『2015 MTV Video Music Awards(以下VMA)』で、「功労賞」に当たる「ビデオ・ヴァンガード・アワード」を受賞。カニエの受賞は事前に発表され、ネット上では「ぜひ、プレゼンターにはテイラー・スウィフトを!」と騒がれていた。というのも、09年の『VMA』で、最優秀女性アーティスト・ビデオ賞に選ばれたテイラーの受賞スピーチを、酔っぱらったカニエが妨害するといういわく付きの関係だから。カニエは「黒人であるビヨンセが受賞しなかったのは音楽業界における人種差別だと訴えたかった」「テイラーを個人的に攻撃するつもりはなかった」と謝罪。すでに2人は和解している。『VMA』主催者のMTVは、そんな期待に応え、テイラーをカニエのプレゼンターに抜てきし、今年の『VMA』の見どころのひとつとして開催前から注目されていた。
授賞式当日、笑顔でステージに上がったカニエは、まず、テイラーの受賞スピーチを邪魔したことを日常的に思い出すと述べ、「問題は矛盾なんだ。アーティストのために戦っているのに、(別の)アーティストを侮辱してしまうという矛盾なのだ」「オレは政治家じゃないんだよ、ブロウ。でも見てみろよ。MTVは繰り返し(オレがテイラーのスピーチを妨害している)シーンを流す。視聴率が稼げるからさ。テイラーがオレのプレゼンターになることを繰り返し発表したのも、視聴率を稼ぐためだ」と主催者のMTVを非難した。
そして、アーティストをランク付けするアワードを理解できないと発言し、「理解できないんだよ、ブロウ。精神的葛藤を抱えてるんだよ、ブロウ。オレは、ただみんなに好かれたいだけなのに。でもどうでもいいさ、ブロウ。2015年、オレはアートのために死ぬ」と続け、「みんな、オレがなんかヤバいもん吸ってきたんじゃないかって思ってんだろ? 答えはイエスだ!」とマリファナ吸引をオブラートに包みつつ告白。
そして、「オレは自分に自信を持っている。自分を信じている。オレたちはミレニアルズだ、ブロウ」と言いだし、子どもたちに人間として素晴らしいことを伝えていこうと呼びかけ、「もし、オレの祖父がここにいたら、オレがすごすごと引き下がるなんてことは絶対に許さなかったはずだ」とシャウト。最後に、「みなさん、ここまできたら、もうおわかりだと思うけど、オレは決心した。2020年の大統領選に出馬する!」と言い放った。
ちなみに、「ブロウ」は「ブラザーズ(兄弟)」を短くしたスラングで、「あんちゃんたちよ」という呼び掛けの言葉。「ミレニアルズ」は、80年前後に生まれ、00年前後に成人を迎えた世代を指す言葉。スピーチはかなり支離滅裂な内容で、なにが「ここまできたらおわかり」なのかも理解できない。しかし、カニエらしい形での大統領出馬宣言だと世間は大喜び。ネット上では早速、カニエの大統領選キャンペーンのおもしろ画像が大量に作られたり、イロモノ大統領選候補者の先輩ドナルド・トランプと「どちらが大統領にふさわしいか」と比較が始まったり、「副大統領候補には、ぜひテイラーを!」と多くの人たちが声を上げるなど、盛り上がっている。