カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」9月8日号

女性のあこがれ「老後の女子会」のツライ現実? 「婦人公論」で露呈した、世代で異なるその中身

2015/09/02 16:00

 上野いわく「男性の場合は定年が来て、ある日を境に生活が変わる。すると用も行くところもなくなって一気に老け込みます。ところが女性は定年を迎えても、そうはならない。というのも、120%会社に身を預けている男性と違い、働く女性は40代くらいで、会社とのつきあいを半身でやるようになる。どうせ会社は、自分の貢献に対して男性に対するようには報いてくれないと悟るのです。その分、定年までの助走期間に、仕事や家庭以外の世界を広げていますから」ということですが、仕事半身にしてそれ以外の世界を広げられるのは、ある程度の経済的基盤があってこそではないでしょうか。それが可能であるのは上野や村崎のように専門性の高い仕事に就いているとか、皮肉ながら120%会社に身を預けている夫に下支えになってもらうか。

 未知なる領域に興味を持ち、そこに飛び込む行動力、資金力が「豊かな老後」を作り上げる。ここで2人が話す「女子会」はそのアイコンであり、「カネ」と「文化」の基準を満たした女だけの、一種会員制のような趣を感じました。女だけの集まりを「女子会」と称してはしゃぐ精神的余裕があるか、実はそこが一番高い壁だったりするのです。

■生き残る術としての「女子会」

 「子育てが終わり、介護も卒業。昔から日本には『後家楽』という言葉があります。舅・姑も夫もいなくなると天国だ、と」とは先の対談での上野の言葉です。そしてこう続けます。「でも今は夫が亡くなるのを待たない人も多い。私は『生前・後家楽』と呼んでいます。昔と違って夫の権威が下がっているので、夫がいても、最近の女性は友人と泊りがけの旅行に行く。人生を豊かに楽しむ方が増えていますね」。

 未婚女性の蔑称として「行かず後家」という言葉があります。では舅、姑、夫、子どもの縛りつけがそもそもない「行かず後家」たちは果たして「行かず後家楽」を過ごしているのでしょうか。こちらコラムニストのジェーン・スー×作家・三浦しをんの対談「独り身の女たちが集う“地上の楽園”」。上野・村崎対談と比較して読むと大変興味深い内容となっています。

 「老後を豊かに暮らす」という上野と村崎の対談では、暮らせることはクリアになった前提で、暮らしの質を上げる方法を語っていました。一方こちらは独り身の女たちが暮らしていくための方法、いわばサバイバル術がメインテーマ。就職氷河期に見舞われ、不景気の波に晒され、“いい大学を出ればいい会社に入れていい暮らしが出来る”“結婚=永久就職”という盲信が崩れ去った後の世界を生きることになったアラフォー世代の本音は……。

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