元カレ元カノからもらった品を売る!? 異色のフリマで驚いた、出品者たちの意外な心境
また、会場にはフリマだけではなく、お坊さんによるお祓いコーナーや、未練ぶちまけコーナー、占いコーナーもあり、至れり尽くせりだ。
担当編集も、なにかをお祓い
プレゼントに恋愛成就のネズミをいただく。どう見てもチン
めくるめく2時間が過ぎ去った。
左はビフォー、右がアフター。意外と売れてる
完売したというだてこさん。7人分の彼の残留物を出品し、売り上げは1万4,000円也。1人当たり2,000円の儲けでいい思い出へと消化できたか
事故物件のカタマリがそんなに売れるものだろうかと思っていたが、意外とイケるようだ。思い出話のくっついた中古品には、出所のわかる安心感と、エピソードという価値がくっついてくるらしい。
とはいえ、やっぱりどんなにエピソードがついていても、不要品感があるものは売れ残る傾向のようだ。最後に、売れ残った物品たちの様子を見てみよう。次の元カレ元カノフリーマーケットイベントに出品する際の参考になれば幸いである。
不要物の代表物・マスコット。入手元がUFOキャッチャーかフリマかというだけの違いだから、手が伸びにくい
コメントが謎の品。別れてから3年後にもらったということ? エピソードが透けて見えないものも買いづらいようだ
「モデルやってた彼女」とか、ホントいらない自慢も。「モデルやるような美女がつけていたものですよ」というつもりかもしれないけど、イラッとするので買うもんか!
単に使いづらいってことでは?
出品者は「うう、思い出の品を売ることで前に進みたいんです」というような陰鬱な感じではなく、意外とサバサバ。元カレ元カノの行方は「シラネ」、出品の理由は「邪魔だから」。ヒンヤリした涼を感じる話が聞けるかと思いきや、愉快な別れ話をたくさん聞いた。もうすっかり気持ちの片がついた物品を提出しているようである。これはちょっと意外だ。
ただ1つ心配なのは、購入していったお客さんたちは、みな酒を飲んでたってことである。人の不幸な話は、酒飲むのに極上のオカズだ。イベント中、適度に行われるオークションなどのイベントで盛り上がり、他人の別れ話に浮かされて「よく考えたらいらないもの」を買い込んじゃった人も多そうである。
しかしまあ、人の手に渡れば、物についていたエピソードや思い出は取り払われてしまう。出品者は、お金をもらって不要品の処分を委託したということかな。買う買わないは別として、いろんな人の終わった恋バナが聞けて面白かった。
ちなみに筆者ならどんなものが出品できるか考えてみた。……ああ、これはどうかな。確かあれは20歳の頃に「付き合うのかな? 友達のままかな?」という男友達からもらった誕生日プレゼントだ。なんか、ぺらっとしたコピー用紙を半分くらいに適当に切って折りたたんである。開いてみると、そこには鉛筆で描かれた私の生首が。写真から模写したらしいけど、なぜか顔と髪の毛少々しか描いてなくて、首から下はすぅ~とフェイドアウト。しかも、大してうまくもないという……。もう、「金ケチりました」感むんむん。ネタなのかどうかもよくわからないし、どうリアクションしたかも忘れたが、速攻でゴミ箱行きだった。でももし今取ってあったら、絶対出品したのになあ。みなさん、恋人やそれ未満の異性からもらった不要物、取っておくとお金になるかもよ!
取材協力:道玄坂ヒミツキチラボ
和久井香菜子(わくい・かなこ)
ライター・イラストレーター、少女漫画研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。街で見かけたおかしな英文から英語を学ぶ「Henglish」主宰。