ビッグダディは序の口!? アメリカの家族密着番組から誕生した、イロモノ有名人の壮絶人生
日本では大家族ものの密着番組が人気を集めているが、その現象はアメリカでも同じ。今や毎日のようにパパラッチに追われているキム・カーダシアンも、セックステープだけだったら「男好きなビッチなセレブ」で終わっていたが、家族が次から次へと問題を起こすリアリティ番組『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』のおかげでセレブとしての地位を手に入れたのだ。
カーダシアン家のようなセレブの家族密着番組のほかにも、大家族もの、十代で赤ん坊を産んだヤンママたちの日常を追う番組などが大人気。そして、その中から何人もの「イロモノ有名人」が誕生しているのだ。今回はそんな、アメリカの家族密着番組から生まれたイロモノ有名人を紹介しよう。
■ジョシュ・ダガー 『19 Kids & Counting』
2008年に放送を開始した『17 Kids and Counting(子ども17人、まだまだ増え続けます)』(のちに『19 Kids & Counting』に改名)のダガー家ほど全米に愛される大家族はいないだろう。大自然に囲まれたアーカンソー州に住む、最終的に10人の息子と9人の娘を持つようになったジムとミッシェル・ダガーのもと、子どもたちはみな健全にすくすくと成長。大家族にありがちな、散らかった家、子どもたちの悲鳴とは無縁の、落ち着いた家庭を築き上げているからだ。
保守的な地区/家庭に育ったダガー夫妻のなれそめは、これまた保守的な独立バプテスト教会。19歳と18歳で結婚した2人は「神が望まれるだけ子どもを産みます」とミッシェルはほぼ毎年出産し、聖書をもとにした家庭教育を実践。学校ではなくホームスクーリングで熱心に勉強を教え、子どもたちが納得できる規則も作り、上の子は下の子たちの世話を積極的に行う環境を作り上げた。その結果、子どもたちはみんな健全に成長しており、3人は結婚して素敵な家庭を築き上げている。
しかし、そんなダガー家に今年5月、とんでもないスキャンダルが持ち上がった。妻子持ちの長男ジョシュ(27)が、2002~03年に年下の少女らに対して性的いたずらをし、父親のジムが地元警察官に相談していたことが報じられた。ジムは事実だとあっさりと認め、被害者5人のうち4人は妹だったこと、寝ている彼女たちの胸と陰部を触ったこと、次第に起きているときも触るようになったために、教会の老司教に相談し、数カ月間ジョシュを信頼できる友人家族に預けて更生させたことを明かした。
ジョシュも謝罪声明を出したことから事態は終息したかと思いきや、その後、警察がジョシュの事件についての調書を全て破棄していたことが判明し、なにか裏があるのではないかと疑われるように。さらにジョシュが過去に番組で近親相姦をネタにしたジョークを言っていたことが判明すると、「確信犯だ」「性的虐待犯だ」とバッシングが始まった。「ジョシュだけは、なんだか嫌な感じがした」という視聴者も多く、タブロイドは連日のように彼にまつわる情報を報じ、税金滞納が発覚。ジョシュは、お騒がせセレブの仲間入りをしてしまった。
■ジョン&ケイト・ゴセリン 『Jon&Kate Plus 8』
ダガー夫婦と対照的に、8人の子どもたちに振り回され、毎日疲れ切っているのがゴセリン夫婦。それもそのはず、ゴセリン夫婦は不妊治療をして00年10月に双子の姉妹をもうけ、3年半後に再び不妊治療で6つ子を産んだという、小さい子だらけの一家だからである。6つ子の珍しさに数回テレビで取り上げられ、07年からは彼らの日常に密着した『Jon&Kate Plus 8』が放送されることになった。
ITエンジニアのジョンは、よくいえば大らか、悪く言えば気の利かない、どこにでもいるような父親。看護師のケイトは自分の思い通りの子育てをしたい、どこにでもいるような母親であることから親近感を持つ人が多く、番組は好調なスタートを切り、一家は一躍有名人となった。
最初は「ハチャメチャ大家族もの」として楽しまれていた同番組だったが、子どもたちの自我が芽生えてくるとともに、険悪な夫婦関係が注目されるように。ケイトはカメラの前でもジョンを怒鳴りつけ、ジョンは別の女性と2人でいるところをパパラッチされるようになり、タブロイドは「心温まる大家族」から「泥沼離婚劇の始まり!」と大はしゃぎ。番組の視聴率はぐんぐん上昇したが、2人は放送終了覚悟で離婚を決意した。