マスコミ関係者に聞いた、フジテレビ『27時間テレビ』の大きな間違いとは
平均10.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、歴代ワースト3にランクインした今年の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)。『めちゃ×2ピンチってるッ!本気になれなきゃテレビじゃないじゃ~ん!!』という、フジテレビのみならずテレビ界全体への警鐘ともとれるタイトルで臨んだが、その「本気」は業界ではどう評価されたのだろうか。
「そもそも、このテーマは局内では反対意見も多かったようです。それを『めちゃ×2イケてるッ!』の総監督で、今回の総合演出も務めた片岡飛鳥氏が押し切り、テーマに据えたという経緯がありますが、はっきり言って裏目に出ましたね」(テレビ局関係者)
そもそもフジテレビの『27時間テレビ』というのは、「愛は地球を救う」というテーマを打ち出している『24時間テレビ』を皮肉る目的で始まったものだという。
「そのため、テーマを決める必要性がそもそもないのです。それでも毎回、一応ゆるいテーマでやってきましたが、今回は、本家のテーマにありがちな『勇気』『生きる』『絆』と同じ系統の『本気』というワードを持ってきてしまった。その時点で、パロディーとして『24時間テレビ』を茶化す役目を、自ら降りてしまったのです」(同)
テーマの方向転換の理由は、視聴者の“目”もあるようだ。お茶の間からの監視の目が厳しくなっているテレビ業界にあって、『27時間テレビ』もただ楽しいだけではなく、時代に合わせた「イズム」や大義名分を打ち出さねばならないという決意表明なのだという。しかし、「本気」という壮大なテーマを掲げたことで、視聴者の間では「ただダラダラとやっているだけじゃん」「本気って、ふざけているだけ?」という意見が殺到し、長時間生放送の番組特有の“ゆるさ”ですら真っ向から否定されてしまう事態に陥ってしまった。
とはいえ、ナインティナインとSMAPの中居正広が総合司会を務め、さらには『めちゃイケ』スタッフが制作担当した過去の『27時間テレビ』は2004年(16.9%)、11年(14.0%)の二度とも成功を収めている。それがどうして今回はこうも批判が集まってしまったのか。
「笑いというものに、『本気』というもっともらしい主義を入れてしまったのが間違い。今回の『27時間テレビ』のCMで、人気子役タレントの寺田心くんが『ただただテレビで笑ってほしい』と言っていましたが、ただただ笑ってほしいなら、そこに、作り手の思いをテーマに乗せて、声高に叫んではいけないのです。その矛盾に対して視聴者は無意識のうちにアレルギーを起こしたのでは」(放送作家)
そして、今後の同番組についても「一度、『本気』という熱すぎる思いをテーマに据えてしまったら、来年はもっとやりづらくなるでしょう。まさに今回、『27時間テレビ』の限界を見たと言えますね。さらに、Tシャツに使われた『HONKY』が差別用語だったことも騒動を呼んでますから、業界関係者からも白い目で見られてますよ」(前出・テレビ局関係者)という。
「ピンチをチャンスに」と、ナインティナイン・岡村隆史演じる“ホンキーマン”は言っていたが、かえってピンチを招いてしまったのではないだろうか。来年、『27時間テレビ』は果たしてあるのだろうか。楽しみに待ちたいところだ。