「CUTiE」休刊の衝撃――いま女子が“青文字系”ファッション誌に求めるもの
中村氏によると、今の10代後半~20代前半が求めているのは「クリーンかつピュアな印象がありつつ、デティールに個性やこだわりを効かせたポップなテイストのファッション」だという。その細かいところの差別化を意識できている雑誌には、マーケットの分析力だけでない、編集部の気合や根性を感じるそうだ。
また同誌は、近年になって西野カナやAKB48メンバーが表紙を飾ったことも話題になったが、それが同時に「魅力を衰退させた」ともネット上で指摘されている。マスを意識して、芸能人を起用した結果、逆に同誌を支持していた層のハートが離れてしまう現象だが、中村氏も「『mer』のように、雑誌が読者と等身大のアイコンを育てる意識があると、読者からの共感が得られやすいのは確か。『CUTiE』も、起用したアイドルや芸能人が読者にとって共感できる人物であればよかったのですが」と語る。
では今回の「CUTiE」休刊が、今後の女子ファッションカルチャーへ与える影響はあるのだろうか?
「正直なところ、そこまで影響はないと思います。起きるべくして起きた休刊だと思いますし、全盛期を知っているアラサー世代の悲しむ声が目立っているのではないでしょうか。いまは街中のオシャレな子を並べるだけのストリートスナップやトレンドアイテムのカタログのような誌面では、もうファッション情報として受け取ってもらえない。シンプルな中にも個性を光らせるためのコーディネートのコツや、読者目線のファッションの解説、等身大で共感できるモデルの起用など、読者が本当に求めていることを分析し、その時代の空気感を読み取った雑誌、『買いたい!』と思わせるような工夫を凝らした雜誌でなければ、生き残るのは難しいです」(同)
歴史あるファッション誌の衰退が惜しまれつつも、「mer」「LARME」など新鋭の女性ファッション誌の快進撃に注目が集まりそうだ。