「CUTiE」休刊の衝撃――いま女子が“青文字系”ファッション誌に求めるもの
7月29日、宝島社は月刊誌「CUTiE」を今月発売の9月号をもって休刊することを発表した。宝島社は「9月からの事業見直しにより、雑誌の選択と集中によってさらなる雑誌事業を展開していく」との休刊理由を発表したが、同誌で青春を送ってきた多くの女性たちは強いショックを受けているようだ。
「CUTiE」は個性的でガーリーなファッションを好む10~20代女性をターゲットとして1989年に創刊。日本初のストリートファッション誌、また“青文字系雑誌”の筆頭として、ファッションだけでなく生き方や価値観において多くのティーンに絶大な影響を与えてきた。
ネット上では、休刊を知ったかつての愛読者から「横山優貴ちゃん、YOPPY、小日向しえちゃん……みんな大好きだった」「アラサーの自分にとっては青春そのもの」「MILKやベティーズブルーを教えてくれたオシャレの教科書だった」「ファッションだけじゃなくカルチャーとしての1つの時代が終わった」といった、驚きと悲しみのコメントがあふれている。
今回の休刊の要因について、伊藤忠ファッションシステム(株)ナレッジ室で、生活者とファッションの関係性を切り口に、世代ごとの消費動向を分析している中村ゆい氏に伺ったところ、「単純に同誌がリアルな読者からウケなくなってきた」という現状が指摘された。
「『CUTiE』は、2000年代から10年代前半にかけて、ストリートファッション誌から、より幅広い層にヒットするトレンドファッション誌へと変貌していったように思います。フェミニンで、デコラティブで、ちょっとセクシーで、トレンドもちゃんと抑えている……現在のアラサーのボリューム層に見られるファッション志向ですが、2000年代後半には『CUTiE』でもそうした方向性が打ち出されています。しかし、現在の10代~20代前半ではそうした志向が薄らいでいる。休刊前に一度リニューアルし、よりガーリーでファンシーな方向性にシフトしたりするなど、世界観を現在のターゲットの感覚に合わせようと試みた印象も受けますが、その方向性は読者層にとってあまりリアルではなかった。その結果、休刊になってしまったという印象です」
「Zipper」(祥伝社)も今年の3月号から季刊誌になった現状を見ると、青文字系自体の勢いがなくなっているようにも思うが……。
「ギャル・ファッションが20代マーケットのメインから退く一方、90年代のストリートファッションがトレンドとなっていることも手伝って、むしろ青文字系のファッション自体は以前よりも元気になっていると感じています。親世代がかつての“オリーブ少女”であるという影響もあり、『Olive』(マガジンハウス)のような世界観が10~20代にリバイバルしている動きも見られます。また、『mer』(GAKKEN PUBLISHING、2013年創刊)や『LARME』(徳間書店、同年創刊)といった新しい雑誌が登場し、書店でも売れているようです」(同)