フジ凋落は『ヘキサゴン』『はねるのトびら』から? 『27時間テレビ』に続く“悪癖”
今年もいよいよ近づいてきたフジテレビ恒例の『FNS27時間テレビ』。司会は4年ぶり3回目となるナインティナインが務め、『めちゃ×2イケてるッ!』の出演メンバーやSMAP・中居正広、明石家さんまなど、例年通りの出演陣で放送される予定だ。代わり映えのない出演者であるため、「年に一度のレギュラー放送」とも言えるだろう。
ナインティナインといえば、土曜午後8時のレギュラー放送『めちゃ×2イケてるッ!』の看板タレントだが、その『めちゃイケ』自体も、このところの視聴率は決して良好ではない。またフジは昨年末の週間視聴率で、初の民放最下位を記録した。
この影響からか、亀山千広社長が内々に「バラエティは5%のコストカット」と指示したとされ、かつて高視聴率を連発していた火曜午後9時のドラマ枠も撤退。代わりに土曜午後11時40分からのドラマ枠をスタートさせたという事情がある。
「昨年夏には『1,000人粛正』と呼ばれた人事異動もあり、現在のフジテレビは完全に“詰んだ”状態。アメリカのインターネット動画配信会社を運営するネットフリックス社と、『テラスハウス』の新作などのオリジナルコンテンツを制作することでこの4月に合意するも、大衆向けコンテンツとは言い難く、よりコアな視聴者のための番組作りになる可能性が高いと思われます」(制作会社スタッフ)
一時期はバラエティでもドラマでも視聴率無双だったフジが、ここまで凋落してしまった原因は何なのだろうか。その1つに「企画力のなさ」が上げられると、他局テレビマンは話す。
「かつて高視聴率であった水曜午後7時からの『クイズ!ヘキサゴン2』、続いて午後7時57分からの『はねるのトびら』は、最高視聴率がともに23%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録したオバケ番組でした。内容としては前者が“おバカ芸能人”をいじり倒し、後者は番宣にきた俳優と一緒に、100均の商品の中から100円じゃないアイテムを予想する、というものです。思い出すだけで、ちょっと身震いするくらいの短絡さですが、こうした番組で高視聴率を獲得してしまったことで、『企画』という概念において、フジは視聴者を見下してしまったように思います。安直なグルメ番組や子ども向けに近いような内容でよしとしてきた。特にゴールデンの時間は島田紳助や明石家さんまなどの、大物タレントの名前にすがるような番組作りが目立っていました」
この兆候が現在まで尾を引き、人気芸人の有吉弘行を司会に据えた『おーいひろいき村』を、深夜から土曜午後7時に持ってきたが、6月27日の放送で3.8%という低視聴率を記録。深夜時代は視聴者に好評だったドミノ企画だが、これも「フジの悪癖ともいえる“俳優接待”の番宣企画になりさがってます」(前出テレビマン)。
別曜日の同時間帯に放送されている『有吉ゼミ』(日本テレビ系)の視聴率が平均で10%を超えているため、フジに対して「有吉の無駄遣い」と揶揄する声も少なくない。これほどまでにテレビをつまらない物にしてきたのは、他ならぬフジテレビ自身だ。
「民放の中でも予算規模は大きいので、金銭的にはぜひとも仕事したいと思う局。ただ、企画が通るまでに相当な時間がかかるし、内容も予定調和な既定路線の方向に決まりがちになってしまっている」(放送作家)
そんな中で放送される今年の『FNS27時間テレビ』。番組の意気込みとして「“テレビの危機”を救い、テレビは楽しいという本来の姿を自らの行動で示していく」と掲げているが、果たしてフジは視聴者を笑わせることはできるだろうか。