カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」7月号

瀬戸内寂聴、坂東眞理子、海老蔵の母――「VERY」20周年記年号に集結した先輩の共通点

2015/06/28 16:00
「VERY」2015年7月号(光文社)

 今月号で「VERY」(光文社)が20年目を迎えるということで、その新聞広告が話題になりました。「妻たちの逆襲、に気をつけて!」というタイトルで、「VERYから、読者の旦那さまたちへ」のメッセージがつづられており、「子どもがママに甘えるのは当たり前。でも、旦那さんまで甘えてどうする!? 家族の中心で、いつも笑顔でいようとしている奥さんに『ありがとう』と言うまえに、ストックのキレそうな、トイレットペーパーを買ってこよう。言葉より、そろそろ態度でしめそうよ」と発破をかけています。

 一方で、読者に対しては優しい言葉を送っています。本誌にある「20年目のVERYを手にしてくれたあなたへ。」というページでは、「VERYを見ると、(略)キラキラしたママばかり。私はそんなふうに到底なれない、見ているだけで疲れちゃうときがあると読者の方に言われることがあります」と読者のネガティブな面を挙げた後、「もちろん、もちろん、その気持ちわかります。」「本当にお母さんたち、毎日ものすごく頑張っているって、VERYは知っています。」と手放しで承認。そしてそんな大変な時期が過ぎたら、オシャレをしようよと訴えるわけです。

「オシャレは誰かと競い合うものではなくて、自分のためにするものだから」。このメッセージは、先々月号の特集テーマ「みんな違ってみんないいね」にも通じます。これぞ今の「VERY」の姿勢なのかもしれません。

≪トピック≫
◎20年目のVERYを手にしてくれたあなたへ。
◎ママたちは、Tシャツ一枚でも輝ける!
◎先輩たちに訊いてみました。「いまの30代って、どうですか?」

■寂聴が語るセックス論

 2013年の「VERY」には、「いつだって“機嫌のいい奥さん”でいる秘訣」という特集がありました。もちろん今の「VERY」にも、「機嫌のいい奥さんでいよう」という考えはあるのでしょうが、その半面、先の新聞広告からは「妻にばかり機嫌の良さを求めないで」という主張も出てきたことがわかります。筆者としては、今月号にはそんな特集があるのかな……と期待していたのですが、ファッション特集は「ママたちは、Tシャツ一枚でも輝ける!」。早合点しすぎたようです。

 しかし、20周年特別企画「先輩たちに訊いてみました。『いまの30代って、どうですか?』」は、とても読み応えがありました。これは瀬戸内寂聴さんをはじめとする、さまざまな先輩方へのインタビュー企画で、なかなかに刺激的な箇所がいくつかあったので、詳しく見ていきましょう。

 まず寂聴さんは、90代とは思えないほど柔軟です。道徳の授業の義務化に対しては、「せっかくここまで自由な時代が実現できたのにそれに逆行するようなことをするなんて」、またセックスについても「自由でなければならない。もちろん自由にしてれば色々都合の悪いことも出てくるでしょう。その時は女たちが、自分たちの経験を踏まえていったいどうすればいいのか考えればいいんです」と語っています。さらに、幸せな主婦を謳う「VERY」では扱い方が難しい浮気についても、尼さんではなく小説家としてと前置き、「浮気でも自分がやってみたらいいと思いますよ」とアドバイス。「男は何人代えても、大して変わらないし」という、寂聴さんの人生を以ってした言葉には、やたらと説得力を感じてしまいました。

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