“フランス婚こそ自由”と妄信する「DRESS」のぼんやりしすぎの結婚特集
■なかなか見えてこない「DRESS」読者の結婚観
「あなたの結婚について教えてください」というコーナーでは、読者181名にアンケートを採っています。そのうち既婚は45%、独身は55%(わざわざ既婚者平均年齢38.9歳、独身者平均年齢41.9歳と書いてあって、独身の方が年齢が高いらしいですよ)。独身者のうち75%は結婚願望があるとかで、「結婚式はしたい?」「パートナーに求めるものは?」などを質問していますが、これがどうにもぼんやりしたアンケートなんです。
まず、アンケートの全体パイが181人ですから、そのうち55%が独身ということはだいたい実数にすると100人くらい。そのうち結婚したくない、どちらでもないのが35%というのはつまり35人です。さらにその中の「必要を感じない」29%は10人、「カタチにしばられたくない」23%は8人、「相手が結婚している」「もうふさわしい人に出会えないと思う」など6%の回答は2人で、そもそもパイが少ないのではと思ってしまいます。
また、既婚者・独身者にそれぞれ「結婚式をしたいか」と聞いてますが、現在独身の読者のうち、未婚、バツ1、バツ2がどれくらいいるのか、シングルマザーはどのくらいいるのか、また現在の仕事や収入はといった回答者の背景が見えてこない。未婚で結婚願望があるのと、バツ1・バツ2で結婚願望があるのとでは、状況がまったく違いそうです。また「結婚をしたくない理由」として「必要を感じない」「カタチにしばられたくない」という意見が52%で過半数を占めていますが、回答者の情報が独身であることしかわからないため、その真意が掴みづらいのです。
例えば、「バツ1子持ちで年収1,000万の女性」という背景が見えていれば、、そりゃあもう独立独歩自立の道を歩みたいのだろう、「年収の高い人ほど結婚願望が薄い」という見方もできるでしょう。逆に、「年収200万・非正規・貯金なし・未婚子なし」で将来に不安を抱えながらも、結婚しないと決めた女性がいれば、その理由を聞いてみたいです。このアンケート、パイが少ない上に質問もぼんやりしていて、「DRESS」読者の女性像って全然浮かんできません。せいぜい「結婚したい人が100人中75人でした」というくらいです。
創刊時は、「経験を重ねて、しがらみから解き放たれた自由な女性を応援!」といったふれこみでしたが、フタを開けてみたら意外と読者は結婚に関してのしがらみでいっぱいでした、ということでしょうか。でも、つまらないしがらみや先入観、押しつけられた姿勢にいつまでも読者が縛られているのなら、それこそメディアが救ってあげるべきです。そのための「自由な結婚」特集が「フランスを参考にしましょう」だとしたら、あまりに安易だし偏っています。そういうのが目新しいと思うのはせいぜいアラサーちゃんまでではないでしょうか。
メインの特集はゆるゆるでしたが、連載「今宵、サイエンス・バーで。」は「地震と火山の国・日本をどう生き抜くか」というテーマで、非常にタイムリーで興味深かったです。「ギンギラギン」よりもこっちのコピーを表紙に載せた方がよかったのではないでしょうか。このページによると「3・11は終わっていない、地震の後は火山の噴火が必ずある」そうです。3・11の10倍の大きさになる南海トラフで巨大地震が起こるとか、富士山が噴火するとか、かなり恐ろしいことがたくさん書いてありましたが、ラストは、「どんな災害が起ころうが、あと10億年は生命は存続する」という結論で締められています。ちょっとでも明るい(?)結論にしようという意図なんでしょうが、やはり、地球の生命なんていう大きな話ではなく、災害が起こることで日本経済がどうなるか、食い扶持と自分の命は確保できるのか、ということが一番心配なんだけどな……と思ってしまいました。
(増井涼子)