“フランス婚こそ自由”と妄信する「DRESS」のぼんやりしすぎの結婚特集
毎度キャッチコピーに昭和を感じる「DRESS」(幻冬舎)ですが、今月号の「ギンギラギンの夏が来る!」にも目頭が熱くなりました。「マッチさん?」と思う以外には特にオシャレ感があるわけでもなく、バブル世代の暑苦しさが漂うコピーですね。
<トピック>
◎Mariage DRESS
◎今宵、サイエンス・バーで。
◎ギンギラギンの夏が来る!
■ぜひ中山美穂にインタビューを!
今月号は結婚についての大特集が組まれています。フランスのPACS(カップルに結婚と同様の権利を認める制度)を例に、事実婚などさまざまな形の結婚象を取り上げています。どうもフランスの話が多いので、「DRESS」はフランスにあこがれているようです。
この特集ではっきりしたのは、「DRESS」は、「結婚をしたいけどできてない女のための雑誌」だったんだなということです。 これまで、妊活、婚活の企画はあっても、「おひとりさま」の企画は記憶にありません。特集の読者アンケートを見ても、未婚読者のうちの75%は結婚したいと回答しています。読者対象がバリキャリセレブ女から迷走期間を経て「結婚したいけどまだ独身の女」と定まったのかもしれません。でもまあそれはそれでいいんじゃないかと思います。コラムを連載している西川史子さんも、次の結婚に向けて邁進中みたいだし。いっそもっとわかりやすく、「DRESS」が企画する「部活」で自分磨きして、オシャレに金と時間をかけて美容で若返って、さあ男をとっ捕まえよう! っていう元気のある雑誌にしたらいいかもしれません。
しかし「自由で多様なスタイルの結婚」を模索、と言いながら、取り上げているのはフランスの結婚事情のみというのはどうなんでしょうか。「フレンチ・セレブの結婚」というコーナーでは、大統領やカトリーヌ・ドヌーヴやヴァネッサ・パラティといったスターの結婚事情をさらっと紹介するのに留まっています。目新しさはほぼありません。せっかくフランスでベタにやるなら後藤久美子さんとか中山美穂さんあたりを引っ張ってくるならまだ「頑張った」と思いますが。
これからの自由な結婚観を模索するなら、過去の日本の結婚制度や、いっそアフリカとか未知の世界の結婚制度を取り上げてみたら、新鮮な情報が手に入ったかもしれません。「自由で多様なスタイルの結婚」は、つまり「自由で多様な社会」だからこそ可能なのであって、結婚の形は、社会によって異なると思うからです。フランスにならうだけが「自由」でしょうか。
しかしなんだかこの結婚特集、全体を通して手抜き感が否めません。「みんなの結婚」と題して、藤原美智子さん、小島慶子さん、そして同性婚をした増原裕子さんと東小雪さんにインタビューしていますが、そもそも藤原さんと小島さんは本誌で連載を持っているメンバーです。声をかけやすい手軽なところで取材を済ませていませんか。どうせ関連メンバーから結婚観を聞くなら、ぜひとも今話題の米倉涼子さんにしてほしかったです。まあゴシップ感覚なんでファッション誌のやることじゃないでしょうが、話題にはなるでしょう。