鈴木えみによる“着痩せテク”を特集、「美人百花」が時代からズレているところ
その後に続く着回しには、それぞれ役の設定が出てきます。「WAYモノ&SETモノをフル活用ハート“服少なめ”着回し一か月」に登場する優木まおみさんは、外資系アパレルのPRという設定で、展示会に行ったり、タイアップ撮影をしたり、サンプルを持って出版社をめぐり、レセプションパーティの準備をしたり、その招待状のデザインをチェックしたり。いつもの着回し企画よりも仕事内容が具体的なのは、きっとファッション誌作りの現場に近い職業なので、その実態を知っているからでしょうか。
また舞川あいくさんは、都内でひとり暮らしのフリーランスのPR。プチプラ服の着こなしに説得力を持たせるための“フリーランス”という設定でしょうが、会社員よりフリーの方が小金持ちということもあるのでは……というそもそもの疑問も。ただ「水曜日にレディースデーの映画館へ、これってフリーの特権でしょ」とあったのは、細かいけれどちょっと納得です(お昼に見に行ってたならもっと納得)。
最後の着回し企画「トレンド服はONでもOFFでも着まわせないと!」は、薄めのブルーシャツやチュールスカートなどをどう着回すかという実用的な内容で、登場人物の設定や、シチュエーション、物語もありません。
この5つの着回し特集、「洋服をどう見せるか」という意図があるのでしょうが、実際に使えると感じたのは、結局、最後の実用的な着回しのページだけのような……。美香さんや泉里香さんのイメージが崩れても、やたらフリーランスの日常に細かくても、先ほども言ったように、読者は、自分の生活する世界が中心で、そこにメリットが加えられない対象には興味がないのではと思ってしまいました。
■痩せてるのか、痩せて見えるのか?
今月号では、「大人のための『着やせテク』完全保存版」というページにも目が留まりました。この企画、タイトルを見落としていたら、着痩せのページとは気づかなかったかもしれません。なぜなら、登場するモデルさんが細すぎて、着痩せコーデで痩せているのか、それとも元から痩せているのかわからないから。
今の女性ファッション誌は、「steady.」(宝島社)のアジアン・馬場園梓さんしかり、「AneCan」(小学館)の磯山さやかさんしかり、ぽっちゃりモデルを起用して、実用的な着痩せを追求している雑誌も多くなっています。
そんな時代に、美香さんや鈴木えみさんで着痩せ特集って……。「美人百花」は、リアリティというものを気にしてないんだなと思ってしまいますが、総じて時代とはズレていると感じた今月号でした。
(柴朋美)