美容・健康
これぞスキンケアの夜明け

「肌質を知らない」ままの凝りすぎスキンケアは危険!? 美肌作りの先端・パーソナル美容とは

2015/05/31 21:00

■肌診断の厳密さはどれほど?

 では、実際に自分の肌質を知る肌診断は、どのくらい厳密にできるのか。

 ファンケル総合研究所・副所長の松熊祥子氏によれば、肌の角層から皮膚の老化などに関わる指標となる7つのタンパク質を特定し、解析することで肌内部を知ることができるそう。「細胞乾燥タンパク」「刺激感受性タンパク」「炎症タンパク」「酸化調整タンパク」「抗酸化タンパク」「細胞活性化タンパク」「炎症性細胞修復タンパク」といった7つのタンパク質は、それぞれ担う役割が異なる。そのため、「それぞれのタンパク質の状態を測定することで、肌の傾向やトラブルの原因がわかるのです」という。

 例えば、紫外線や防腐剤など外的刺激が加わると増加する「刺激感受性タンパク」は、多くなればなるほど肌細胞のDNAにまでダメージを与えるため、バリア機能が低下して敏感肌になる傾向が強くなる。酸化ストレスから肌を守る役割の「抗酸化タンパク」は、紫外線などで生じた活性酸素を消去する働きがあるが、このタンパク質の量が少ないと活性酸素の刺激を受けやすくなって、シミやシワができやすくなるそうだ。

 そのほかにも、ターンオーバーに関わる「細胞活性化タンパク」、肌の弾力を左右する「炎症性細胞修復タンパク」など、「これら7つのタンパク質の状態を肌診断で複合的に分析することにより、現在の肌の状況や肌トラブルの根本原因を突き止めることができ、自分の肌に合ったスキンケアが可能になります」と松熊氏は言う。そのため、シワや肌のはりといった表面的な悩みにだけ着目していては、根本的な原因はいつまでも改善されず、対症療法にしかならないのだそうだ。

 つまり、「40代女性乾燥肌」といった、同じ肌質&似たトラブルで悩む同年代の女性同士であっても、「抗酸化タンパク」の減少で抗酸化力が低下していることが原因の人と、「刺激性感受性タンパク」が増えてバリア機能が低下している人とでは、必要なケアが変わってくるということだ。目には見えないタンパク質量やDNAの損傷から原因を探り、ピンポイントに必要なスキンケアを施す。それが、「パーソナル美容」ということだろう。ファンケルが今回新商品として発表したパーソナル美容液「スキンソリューション」、そして店頭で肌内部のダメージリスクの分析ができるという「パーソナルソリューションプログラム」が火付け役となり、パーソナル美容への注目度は今後も上がっていくものと見られる。

 日ごろのスキンケアは、カサつきや肌のたるみ、シミやシワなど、目につきやすいところで対処しがちだ。また、基礎化粧品もネット上での評判や過去の経験から選びがち。どんなに高価なものを使っても、過去に効果があったものを使い続けても、それが今の肌に合っていなければ、かえってダメージを進行させている可能性が高いというのは、いささかショックな話でもある。だが、タンパク質やDNAレベルで肌の状態を知り、原因から対処できる「パーソナル美容」で自分に合ったスキンケアを知ることができれば、長年悩み続け、半ばあきらめていた肌トラブルの解消も、夢ではないのかもしれない。
(千葉こころ)

最終更新:2015/05/31 21:00
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