美容・健康
大久保ニューの【美のぬか床】 第22回

「まつ毛=女の充実度」だった!? 上西小百合、伝説の“びっちゃびちゃ”アイメイクの源流

2015/05/24 19:00

 とりあえず、小百合のまつ毛考察を訂正するためJ子に電話をする。「でも、深キョンがいなかったら関西メイクも生まれなかったと思うよ」との負け惜しみを添えて。するとJ子が「ニューさんは女装をする時、つけまつげを付けてますけど、あれは深キョンを目指してなんですか?」と尋ねてきた。そう、イベント出演時等で女装をする時は、必ずつけまつげを装着してしまう私。でもそれは深キョンではなく、「装着しないと化粧をした気になれないから」だ。

 初めての本格的な女装は十数年前のハロウィンの時だった。友人の家に集まって、ゲイ同士キャイキャイとメイクをしたのだが、一通り塗り終えてビックリ。鏡の中に「授業参観の時のお母さん」がいるのだ。普段、すっぴんの母のフルメイク顔は、授業参観でしか見ることがなかった。「そっか……私の頭蓋骨は母親似なんだ」と、婦警さんのコスプレをした状態で感慨深くなったが、そんな場合ではない。「パーティーなのよ!? もっと盛らなきゃ!」と、アイラインを太くするも、奥二重なので全然ラインが出ない。それならばと友人からマスカラを借りて塗りまくったのだが、私は地まつ毛の量がショボいのだ。下まつ毛なんてほとんどない。しかも、頬骨がゴツくて、ビューラーがうまく届かないのだ。苦労した挙げ句、「ひじき」どころか「砂鉄」のようなショボいまつ毛にしかならなかった。結局、その日は授業参観の母を匂わせたまま六本木のクラブで踊った。私のメイク史は黒星スタートだったのだ。

 その後も、ちょくちょく女装をする機会があり、友人の結婚式では「ニセ花嫁」の大役を授かり、プロのメイクさんにメイクをしてもらったこともあった。しかし、どうしても母の面影から逃げられないでいたが、数年前、ギャル誌のメイク特集を参考に、つけまつげに手を出してみたところ、瞬時に普段と違う目になれたのだ。私がつけまつ毛を使う理由は「ようやく母親から卒業できた☆」という感動と、「ようやく顔の印象が変わった!」という興奮が得られたからである。そう考えると、私は本当に自分の顔が気に入ってないんだなあ……と思えてしてしまうが、そもそも化粧とは「化けるための粧い」である。イベント時にしかメイクをしない私は「晴れの場にふさわしい顔」に化けたいのだから仕方ない。では、日常的にメイクをしている女子は、どんな思いでまつ毛と向き合っているのだろう。

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