モーガン・フリーマンの「マリファナを全面的に合法化しよう」「悪い副作用もない」に賛否両論
脇役であっても圧倒的な存在感で主役を食ってしまう名優として知られるモーガン・フリーマン。新作映画『5 Flights Up』(原題)のプロモーションのために受けたインタビューで、マリファナがいかに素晴らしいかを力説した。過去にも「マリファナの合法化には賛成」だと表明したことがあるが、今回はさらに踏み込んだ発言をし、物議を醸している。
米人気ポップカルチャーサイト「The Daily Beast」のインタビューを受けたモーガンは、マリファナについて、「昔はね、“小僧、そんなもん吸ったら中毒になっちまうぞ!”ってどやされたもんだけど」と淡々と語りだし、「私は最初の妻に勧められてマリファナを始めた。もう何年も前にね。どのように摂取するかって? 食べ物に混ぜたり、吸ったり、鼻ですすったり、なんでもありさ」と昔からマリファナに親しんできたことを告白。マリファナ合法化に向けた運動が起こることを待ちこがれてきたと述べ、「酒にはなんの医学的効用もないってことが明らかになっただろ。1杯くらいなら落ち着くことができるかもしれないけど、2杯、3杯って飲み続けるとファックな状態になっちまう」と、合法的に売られている酒よりもマリファナの方がよっぽどマシだと力説した。
モーガンは続けて、「マリファナはね、たくさんの“役に立つ”使い方があるんだよ。私は左腕に線維筋痛症を患っているが、この激痛を取り除いてくれるのは唯一、マリファナだけだ。てんかんで苦しむ小児患者たちの発作をマリファナは減少させることができる。だから私は声を上げるんだ。“マリファナを全面的に合法化しよう!”」と主張。「マリファナには悪い副作用とかもないだろう?」「1969年のウッドストック・フェスティバルがいい例だ。マリファナを吸うことが黙認されていたから、問題も起こらずにフェスティバルは無事終了した。でも、99年のウッドストック30周年記念イベントでは、マリファナを吸うことに対する風当たりが強く取り締まられた。その結果、暴動が起こり、逮捕者が出る騒ぎとなったのさ」と、マリファナはまさしく平和の象徴であるという持論を展開した。
モーガンは2008年8月に、愛車の日産マキシマ1997でミシシッピー州の高速道路を走行中にスリップし、車ごと数回宙を舞う大事故を起こした。大破した車両に体が挟まれたため、特殊な油圧カッターを使って救出され、メンフィス市内の病院にドクターヘリで救急搬送された。この事故でモーガンは左肩、腕、肘を粉砕骨折。神経をひどく損傷し、4時間にわたる手術を受けたが、左腕は麻痺した状態で血液がたまりやすくなったために、常に特殊な手袋をはめなくてはならなくなった。
これまでにもインタビューで、事故の後遺症は重く、麻痺と鋭い痛みに苦しんでいると語ってきたモーガン。しかし、マリファナのおかげで痛みを抑えることができ、日常を穏やかに過ごすことができるというのである。ちなみにマリファナを教えてくれた最初の妻ジャネット・アデア・ブラッドショウとは、67~79年に結婚生活を送っており、事故に遭う前は純粋に嗜好品としてマリファナに親しんでいたとのこと。03年に受けた英タブロイド紙「The Guardian」の取材でも、マリファナのことを「神様の葉っぱ」だと表現し、「ガンジャをやめることはないね」と上機嫌で語り、迷言だと話題になった。
12年に米大手誌「ニューズウィーク」のインタビューを受けたときにも、マリファナを取り締まる法律について「まったくバカバカしい法律だよ。歴史を見ても、人間はやりたいことをするものだろう? 違法にするのはやめた方がいい。犯罪行為をしていない人を犯罪者に仕立てるなんて、本当にバカバカしい。勝てもしない戦争に何兆もの金を注ぐくせに! マリファナを合法にして酒のように税金を取れば、何兆も作れる。本当にバカだよ」と発言。マリファナ合法化賛成派であることを表明していた。
アメリカでは23州で医療用マリファナの販売は合法となっているため、処方箋さえあれば購入でき、ジョージ・クルーニーら多くのセレブが医療用マリファナ販売店に出入りしていると伝えられてきた。しかしそれらの販売店は比較的高価で、嗜好目的で使用する人はライセンスをもっていない店舗で購入するなどの違法行為が多発。ライセンスを持たない店の後ろ盾となっている犯罪組織の資金源として使われるようになり、問題が深刻化してきた。そんなこともあり、近年、アメリカではマリファナ合法化への機運が活発化し、昨年、コロラド州、ワシントン州、アラスカ州で嗜好品としてのマリファナ販売が解禁になった。