カルチャー
青木正一氏×渡辺明日香氏の“原宿”対談【後編】

“HARAJUKU”はデコラで時が止まっている――再び原宿が息を吹き返すために必要なこと

2015/04/22 16:30
青木正一氏

――原宿のストリートスナップで、奇抜なファッションを披露する服飾系専門学校の学生は多かったような印象ですが。

青木 繊研プラスが全国の服飾系専門学校の学生を対象に行っている「ファッション意識調査」で、「よく買うブランド」や「好きなブランド」、「就職を希望する企業」の上位は、ユニクロやファストファッションで、僕がすごいデザイナーだと思っているマルタン・マルジェラは出てこないばかりか、名前すら知らない子がたくさんいるんです(笑)。

渡辺 コレクションにも興味のない人が増えていますね。学生に「その服かわいいね、どこのブランド?」と聞くと、自分でどこかわからず「ルミネの2階の奥の方で買いました」などと答える。余談ですが、最近ルミネはすごい人気ですね。ルミネが原宿にないということは、やっぱり“原宿らしい”とも思うんですが。

――きゃりーぱみゅぱみゅが海外で人気となり、原宿といえば「カワイイカルチャー」だと海外では盛り上がっています。原宿が保守的になっている現実とのギャップを感じます。

青木 海外での「カワイイファッション」は、90年代後半に原宿ストリートファッションが爆発した際、僕が撮影し、イギリスの出版社から各20万部ほど発行された写真集『Fruits』『Fresh Fruits』(いずれもPhaidon Press)を見て言っているので。海外での認識はそこで止まっていて、今でも原宿に来ると、ああいうファッションを見られると思っている人が多いです。先日、アメリカのファッションサイトが原宿のドキュメンタリーを撮りに来ていて、インタビューされたんですけど、テーマはデコラで。「デコラは、今は10人くらいしかいない」と言っても引かないんです。「10人でいいから」と(笑)。

渡辺 デコラは、ゲイシャやニンジャのような存在になっているんですね。

青木 イギリスのパンクファッションにも通じますね。デコラは世界のどこにもない日本オリジナルだという点を正当に評価してくれているのはいいのですが、それ以降にはあまり興味がないのかもしれない。最近は日本でもデコラを知らない世代の子たちが増えてきているので、また興味を持ちだすかもしれないと期待しています。

渡辺 原宿で定点観測していると、デコラやゴスロリファッションをして原宿に来ている海外の人を結構見かけます。ドイツやフランスの人のようです。神宮橋に集まっているらしいという情報を何かで見たんでしょうね。一応来てみて、誰もいないことに驚きつつも楽しそうに歩いています。京都で着物を着て観光する感覚で、ロリータの格好をして原宿を観光するという楽しみ方もあるんですね。私の大学の助手は20代後半で、ロリータ歴10年ほど。“お茶会”をしに原宿に行くと、必ず海外の人から「一緒に写真を撮ってください」と声をかけられるそうです。後日、Facebookに写真が上がって「国際交流したな」という気持ちになるんだとか。

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