海外
奇跡のカムバック

「干渉妻」や「子役のイメージ」から脱皮し、見事第一線に返り咲いたセレブたち

2015/04/19 15:00

 しかし、「脚本が良くなければオファーを受けない」という徹底した態度のためか、オファーが減り、人気は低迷。08年に初監督と主演を兼ねた『クリミナル・サイト~運命の暗殺者~』では編集方針をめぐってプロデューサーと対決し、興行成績は散々で「いわんこっちゃない!」と裁判で訴えられるハメになった。

 しかし、マイケルは納得のいく仕事のみをこなすというスタンスを頑なに守り、昨年公開された『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が大ヒット。同作で本年度のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、完全なる再ブレイクを果たしたとメディアは称賛した。結局受賞は逃したが、その際、受賞スピーチの紙をそっとポケットにしまう映像が全米に流れ、「気の毒」「いい人すぎる」と人気がさらに上昇、再び時の人となっている。

■パトリック・デンプシー

 映画『キャント・バイ・ミー・ラブ』(87)でダサいけどハートの熱い男子学生を演じ、大ブレイクしたパトリック・デンプシー。アイドル的な存在だったが、私生活では27歳年上の演技コーチ兼マネジャー、ロッキー・パーカーと恋愛し結婚。ロッキーはひと時も彼のそばを離れず、監督やプロデューサーたちにステージママさながらに意見するようになり、業界でのパトリックのイメージは大幅にダウン。作品にも恵まれず、実力派俳優へのイメチェンを狙って出演した映画『モブスターズ/青春の群像』(91)での評価もイマイチ。共演者のクリスチャン・スレーターと大ゲンカし、短気で扱いにくい役者だと敬遠されるようになった。

 パトリックは91年に自分自身を見つめ直すために休暇を取るが、ハリウッドに戻ってきた彼に居場所はなく、オーディションで受かる役はB級映画やテレビドラマの脇役ばかり。ロッキーに責任をなすりつけるようになったため、夫婦関係は破たんし、94年に離婚。大工の仕事やモデルの仕事をして生計を立てていた30代のこの苦労が、彼を味のある中年へと成長させることになった。

 99年に再婚したヘアスタイリストの妻から「過去の栄光にとらわれないで、新しい役者になればいい」とアドバイスされ、自然体を心がけるようになった彼の運は次第に上昇。ゲスト出演したテレビシリーズ『Once and Again』でエミー賞にノミネート、リース・ウィザースプーン主演の映画『メラニーは行く!』(02)にもキャスティングされ、その後、ロブ・ロウがオファーを蹴った役のオーディションを受け見事合格。こうして出演した『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』(05~)で、「セクシーで繊細な有能な脳外科医」が当たり役となり、再ブレイク。大ヒット作『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(11)にも出演し、見事ハリウッドのA級俳優へと返り咲いた。

■ミッキー・ローク

 幼少時に両親の離婚・再婚を経験したミッキーはボクシングに没頭する10代を送っていたが、69年の試合で脳震とうを起こし、数年休養するように言われたことがきっかけで役者に転身。ニューヨークの有名俳優養成所アクターズ・スタジオで学び、オフブロードウェイで下積みをしていた79年にスティーヴン・スピルバーグ監督の『1941』で銀幕デビューした。

 『白いドレスの女』(81)でセクシーで危険な男のイメージを、『ダイナー』(82)や『ランブルフィッシュ』(83)でバッドボーイのイメージを確立。ニコラス・ケイジやショーン・ペンから尊敬される俳優へと成長していった。主演した『ナインハーフ』(86)ではセックスシーンばかりが話題になり、ミッキーは「精神的な拷問を表現しているところを見てほしい」と反発。プロデューサーや制作会社と対立するようになり、業界から敬遠されるようになる。大勢の取り巻きを引きつれ散財しまくっていたミッキーは金銭面でも問題を抱え、人生を立て直すためにハリウッドを離れ、再びボクシング界に戻った。

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