「干渉妻」や「子役のイメージ」から脱皮し、見事第一線に返り咲いたセレブたち
昨年、名優と呼ばれていたケビン・コスナーが、『エージェント:ライアン』『ラストミッション』『ドラフト・デイ』と大作映画に立て続けに出演したが、見事に大コケ。マスコミに「いつになったらカムバックできるのやら」と冷笑された。ハリウッドはシビアな業界のため、「すでにイメージが定着している元人気子役」「わがままで扱いにくくなり干された元スター」「自分探しのために業界を離れた元スター」を再びA級スターとして迎え入れることはまれだ。80~90年代にハリウッドのトップ俳優として君臨していたケビンでさえも、銀幕スターとして再ブレイクできず、もがいているのである。
ハリウッドでカムバックを果たすのは奇跡に近いともいわれているのだが、中にはトップスターとして華麗に舞い戻った者も存在する。今回は、そんな「カムバックを果たしたセレブたち」を紹介しよう。
■ジャレッド・レト
当時から社会問題となっていたティーンの飲酒、薬物乱用、セックス、いじめ、同性愛などを描いたテレビ青春ドラマ『アンジェラ 15歳の日々』(1994~95)で超イケメンだと大ブレイクした、俳優のジャレッド・レト。米芸能誌「People」における「最も美しいセレブ」の常連になるなど、その美貌で注目を集めるようになり、映画界にも進出。ごく普通の青年が麻薬依存症になっていく『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)が当たり、ニューヨークの治安の悪い地区で寝起きし、当時交際していたキャメロン・ディアスとセックスレスになるほど徹底して役作りをしたことが話題になった。その後も、映画『チャプター27』(07)でジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンを演じるに当たり、2カ月間で30キロという無茶苦茶な増量をし、世界中を驚かせた。
その後は兄シャノンと98年に結成したバンド「サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ」の活動に没頭し、ミュージシャンとしての評価も得るが、08年にヴァージン・レコードから期間内にアルバムを制作しなかったことが契約違反だと裁判を起こされる。しかし、そんなトラブルを乗り越え、13年にリリースした4thアルバム『ラヴ・ラスト・フェイス・アンド・ドリームス』で、念願の「Billboard 200」トップ10入りを果たした。それだけでなく、同年公開された映画『ダラス・バイヤーズクラブ』で14キロ減量して熱演した、性転換を受けたHIV患者役が大絶賛され、アカデミー助演男優賞を獲得。長髪にひげもじゃ姿で、90年代の頃の美貌からは想像もできないほど見た目は変わったが、チャーミングなアーティストとして音楽界からも映画界からも称賛され、ハリウッドを代表するスターに見事返り咲いた。
■マイケル・キートン
スタンドアップ・コメディアンとしてキャリアをスタートさせたマイケル・キートンは、テレビのバラエティ番組に出演しながら知名度を上げ、映画にも出演するように。日米摩擦をコミカルに描いたロン・ハワード監督の『ガン・ホー』(86)は痛快コメディとして話題になり、ティム・バートン監督の『ビートルジュース』(88)でバイオ・エクソシスト役を演じ、個性派俳優として認知されるように。主役に抜てきされた『バットマン』(89)で世界的にブレイクした。