「まるで昭和のバカ殿」日本唯一の秘宝館・熱海秘宝館の“誰もが笑える”エロの実像
そんな背景もあってか、日本唯一となった秘宝館の館長にインタビューを敢行。そこから、女性客をもターゲットにした施設作り、また今後の熱海秘宝館の展望が見えてきた。
――熱海秘宝館の年間来場者数や、男女比を教えてください。
熱海秘宝館館長(以下、館長) ここ数年間は9万人前後です。一番年間で来場者が多いのは夏休み。次にお花見シーズンの3月ですね。男女比は時期によってまちまちですが、6対4から7対3の割合で男性が多いです。30年くらい前は、団体旅行の流れで観光スポットとして立ち寄る方が多く、年齢層も高めでしたが、現在は個人でのお客様がメインで、20〜30代若い方、女性も増えてきました。
――人気のアトラクションはなんでしょうか?
館長 人気のアトラクションは、「モンロー」(ハンドルを回して風を送り、マリリン・モンローのスカートをめくる)や「温泉芸者」(女湯を覗くと水を掛けられる)などの初期に作られたアトラクションですね。シンプルでユーモアたっぷりなアトラクションの人気が高いようです。「秘宝館」と一口に言っても、医学的なものやグロテスクな展示が中心という秘宝館もありましたが、熱海秘宝館はライトで笑えるような、バカバカしいテイストが全体のトーンになっています。また、実在する芸能人をモチーフにしているアトラクションもあり、遊び心ある小ネタがちりばめられています。そういったところに、設計者の「女性客も取り込んでいこう」というコンセプトを感じます。
――かつての『バカ殿』のお色気シーンを見ている気分でした。
館長 笑いや仕掛けは似ているかもしれません。そういった時代性が、熱海秘宝館のアトラクションの演出や構成に影響を与えているのかなと感じます。
――熱海秘宝館に、「昭和レトロ」を求める人も多そうですが。
館長 「昭和レトロ」というのは、メディアの方が作ったブームのような気がしますね。熱海秘宝館は、“結果的”に古くて昔からあるというだけなので。内容については、昔の良きものも守っていきながら、時代とともに進んでいかないと、お客様から飽きられてしまうという危機感があります。
今年2月に新アトラクションをオープンさせましたが、秘宝館の価値向上を目的として企画しましたが、今までとは違うテイストを出せたと思います。ほかの秘宝館が閉館してしまったため、ある種使命感を感じるとともに、2008年以降新しいアトラクションを作っていなかったので、いいタイミングかなとも思いました。「秘密の昼下がり」は、オリエント工業さんの最新技術によるラブドールのアトラクションで、清潔感があって見苦しくなく、女性の方にも楽しんでもらえると思います。顔は某有名女優をイメージしているそうです。このように古いものは古いもので楽しんでいただきながら、新しいものを提供することでお客様に驚きを与えたいと思っています。
――女性客の方は、なにを求めて秘宝館に来ていると思いますか?
館長 温泉街からロープウェイで山に登り、こういったエッチな施設を訪れるのは、なんというか高揚感を得られるのではないでしょうか。秘宝館が、街中のビルの中にあると、ガラッと印象が変わるでしょう。これからもお客様の期待に応えられるように、しっかりメンテナンスを行い、ときには新しいアトラクションを増設したいですが、従来からのエロくておバカで面白い、という全体のトーンを変えることはないでしょう。普段仕事をしている女性の方に、熱海秘宝館で非日常を楽しんでもらえるとうれしいですね。
(取材・文=いしいのりえ)
熱海秘宝館
住所:静岡県熱海市和田浜南町8‐15
開館時間:9時30分~17時30分(入館は17時まで)
問い合わせ:0557‐83‐5572
公式サイト