“ジャニーズの笑い”を超えてくる、関西ジャニーズJr.・浜中文一の不気味なポテンシャル
SMAPの登場以降、コントやトークなど、笑いのスキルも求められるようになったジャニーズタレント。でも、実のところ、本当に面白い人というと、SMAP・中居正広の司会スキルや、天才天然のTOKIO・長瀬智也、SMAP・草なぎ剛などを除くと、ほとんどいない気がする。
そんな中、今回注目したいのは、一般にまだまったく知られていない西の実力者・関西ジャニーズJr.の浜中文一だ。
「Jr.」と聞いて、初々しくガツガツ一発芸などを盛んにブチ込むキャラをイメージしたら、大間違い。むしろテンションは低い。また、一般に、「西の実力者」というと、吉本興業的なコテコテのボケツッコミや、グイグイ前に出る感じをイメージする人が多いと思うが、関ジャニ∞やジャニーズWESTなどの「芸人みたい」といわれる「西の笑い」とはまったく違う。
浜中の笑いは、「西」でもなければ「東」でもない。コテコテもドヤ感もなく、いわゆる「天然」とか「不思議ちゃん」とも違う。ただ「浜中」という唯一無二のミステリアスな世界。そこはかとなく気品すら漂うから腹立たしい。
そんな浜中の魅力が大いに発揮されるのが、ときどきゲストとしてやってくる『まいど!ジャーニィ~』(BSフジ)なのだが、彼が登場する回には、レギュラーメンバー全員がただの観客のように、彼の一挙手一投足に終始キャッキャと爆笑する。みんな仕事を忘れたかのように、ただただうれしそう&楽しそうにする可愛らしい素顔が見られるという意味でも、浜中は非常に良い仕事をしている。
3月22日のテーマは「蔵出し!新春拡大SP未公開集」。「新春拡大SP、誰かいましたね」「誰でしたっけ」などとレギュラー陣がボケをかます中、大ベテラン演歌歌手のようにゆっくりたっぷりの「間」で登場した浜中は、ただ一言「なに?」。
文字で彼の面白さを表現できない自分の表現力のなさが口惜しいが、この人、ただ一言放つだけで、共演者も観客も、おそらく視聴者たちも、ドカンドカンと笑う。
そして、放送でカットされた自らの未公開シーンの数々を紹介したのだが、そこでもレギュラー陣&観客は大爆笑。別にギャグを言うでも、ボケるでもツッコむでもなく、それでもなぜカットされたのかわからないほど、見事にどれもこれも面白く、スベリ知らずだ。
実はアイドル誌で初めて浜中の写真を見たとき、その誰にも似ていない個性的なルックスに、どこか不気味さも感じたのだが、動いている様子、しゃべっている様子を見るにつけ、不思議と目が離せなくなった。正直、いまは芸人でも浜中くらい面白い人は少ないんじゃないかと盲目的に思っている。
ちなみに、実は歌もダンスもうまく、昨年上演された舞台『ガラスの仮面』では、貫地谷しほり演じるヒロイン・北島マヤのボーイフレンド・桜小路優を演じていた。
また、浜中については、以下のような数々の不思議な伝説がある。
「私服でいつもフードつきの服を着るのは、外から迫ってくる何かを遮断するため」
「自分がハーフだということに19歳のときに気づいた」
「小さいとき、どんな子だったか聞かれ、『オレ、小さいとき、おったんかな』と言う」
「ファンに『浜中文一くんですか』と話しかけられたときの答え→『確かそうやったと思います』『そんな気がします』『そういう可能性もあるよねー』『もしかしたら。でも俺は大量生産型やからニセモノの可能性もあるよ』」
惜しいのは、テレビで浜中の面白さを見られるのが、ときどきの『まいジャニ』と、本当にときどきの『ザ少年倶楽部』(NHK BSプレミアム)くらいだということ。深夜枠の帯で浜中文一の5分番組などをやってくれたら、最高にうれしいです。
(田幸和歌子)