カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」4月号

女性が輝く社会の片棒を担いでいた!? 「VERY」に見る“輝けないのは自己責任”の圧力

2015/03/26 18:00
「VERY」2015年4月号(光文社)

 今月号の「VERY」(光文社)の特集は、「春のオシャレ、“ママ”と“私”の境界線」です。いつもの通り、タイトルの意図するところは、中の説明を読まないとわからないのですが、個人的に、わかりにくいタイトルであるほど、「VERY」妻のさまざまなホンネが詰まっているような……。早速中身を読んでいきましょう。

<トピック>
◎春のオシャレ、“ママ”と“私”の境界線
◎内田樹×高橋源一郎特別対談「女性が輝く社会」ってどうよ?
◎「今どきママたちは自転車に乗ってもコンサバです(はぁと)」

■流されないという「VERY」妻の資質

 特集「春のオシャレ、“ママ”と“私”の境界線」は、「ママとしてのファッションを重視する日々のなかで、純粋に自分の好きな服を買う感覚を、忘れていませんか?」とあるように、「子育て」を言い訳にして、ファッションをあきらめるのはやめようというファッション企画です。確かに、ママは大変です。子どもにかける時間も多いし、仕事と家事を両立している人もいるでしょう。自分がやりたいオシャレなんて、そうそうできないように思います。

 しかし、それはママだけでなく、OLさんも同じなのでは。1日中子育てに従事しているママや、ワーキングママより制限は少ないかもしれませんが、OLだって、OLとしてのファッションを重視する日々の中で、自分の好きな服を好きに着ることはそうそうできないはず。もちろん、「OLとしてのファッションを心がけるのは、社会人のマナー」と言われればそれまでですが、最近炎上して話題になった「ルミネ」のCMのように、男性社員に「もっと女子っぽくしたらいいのに」などと言われ、ときにはそれを受け入れたり、反発したりしながら日々過ごしているとのではないでしょうか。またその中で、自分なりのオシャレをしようと模索しているとも思います。それがOLの日常です。

 ただOLが読む雑誌には、「OLファッションをさせられるのは嫌! 自分らしくいさせて!」という主張は少なく、「いかにオフィスで浮かないか」「仕事場に合わせられるか」がテーマで誌面ができている場合がほとんど。OL雑誌「steady.」(宝島社)の今月号なんて、「上司、同僚、みんな見ています 社内で社外で恥ずかしくない服」という特集があるくらいです。どんな立場であろうと、今の日本で“OL”の属性から開放されることがいかに難しいかを感じさせます。

 一方で「VERY」は、それをあきらめることはしません。同特集からは、「自分の好きな格好をしたっていいじゃない」という気持ちを感じます。他者の目線ばかりを気にするのではなく、自分の意思を強く持って、流されない、そして流されないことを許される……それもまた「VERY」妻に必要な資質なのかもしれません。

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